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2012 年度 実施状況報告書

走査トンネル顕微鏡を用いた電子スピン共鳴による単一スピンの検出

研究課題

研究課題/領域番号 23540425
研究機関東京理科大学

研究代表者

坂田 英明  東京理科大学, 理学部, 教授 (30215636)

キーワード走査トンネル顕微鏡 / ESR
研究概要

本研究では、
・ 電子スピンによるトンネル電流の変調を検出することによって、実空間でスピンの存在、配置を調べる走査トンネル顕微鏡(STM)を開発・ 電子スピンによるトンネル電流の変調の理論の検討・ グラファイトのエッジに局在したスピンの測定、を目的としている。1つの電子スピンによるトンネル電流の変調の研究は信号が非常に小さいため、先行研究が少ない。このためこの研究は装置開発の部分がかなりの部分を占めることとなる。
昨年度までに電子スピンによるトンネル電流の変調を検出するためのSTMを製作した。本年度はこの装置の評価及び実際の試料BDPA分子におけるESR信号の検出を目指した。
まず装置評価に関しては、原子分解能が得られる安定性、高周波のノイズの大きさの評価、高周波特性の測定を行った。その結果、実際の試料BDPA分子を用いた測定では、STMによりBDPA分子を観察することに成功し、装置が十分安定で原子分解能を有していることを確認した。高周波のノイズレベル及び高周波特性においても、低周波から1GHzまでの周波数領域において、期待していたような性能を有することが確認できた。そこで、実施に磁場を印加し、ESR信号の測定を行った。その結果、分子位置近くで印加磁場に対応すると思われる周波数に高周波信号を見いだすことができた。しかし今のところ検出された高周波信号は想定していたよりもS/Nが良くなく、装置の更なる改良を行った。一つはインピーダンス整合回路の改良とSTM本体の一体化を行った。また前置増幅器を多段とし、更なる微少信号の検出を可能とした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ESR信号測定において分子位置で印加磁場に対応すると思われる周波数に高周波信号を見いだしたが、信号のS/Nが想定した値より良くないことが分かった。このため、検出した高周波信号が単一電子由来の物であるかどうかを確認しずらい。この原因としてはSTM探針や試料周りのインピーダンス整合性が考えられる。そこで、装置のS/Nをあげるためにインピーダンス整合回路の改良を行った。またSTM本体とインピーダンス整合回路を一体化し高周波信号のロスを小さくするように工夫した。また更なる高周波信号の増幅器の導入を行った。これにより前置増幅器は3段となった。これら改良を加えたSTMは、特性評価によりさらなる微少な高周波信号を検知できることを確認した。

今後の研究の推進方策

今年度の装置の改良を踏まえて、あらためてBDPA分子の測定を行う。明瞭な高周波信号の検出が期待できる。また、分子からの信号であること確認するために、印加磁場の変調を行い、分子からの信号であることを確認する。問題点があればさらに装置の改良を行う。
BDPA分子からの信号を確認した後、グラファイトエッジの測定を行う予定である。すでに、グラファイトエッジを作成してSTMで観察を行っており、このようなエッジにおいて構造、電子状態、スピンからの信号の同時測定を行うことを計画している。

次年度の研究費の使用計画

予算は消耗品費のみで、装置の改造のための部品代及び寒剤代に当てる。

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公開日: 2014-07-24  

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