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2012 年度 実施状況報告書

重い電子系化合物の量子臨界点近傍でのフェルミ面変化の実験的検証

研究課題

研究課題/領域番号 23540430
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

岡根 哲夫  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (10391278)

キーワード重い電子系 / 量子臨界点 / 光電子分光 / 磁気円二色性
研究概要

本研究は、重い電子系セリウム化合物におけるセリウム4f電子の遍歴→局在転移における電子状態の変化を具体的に理解することを目的としている。本研究における最も主要な実験がCeRu2Si2の希釈系化合物において組成(→化学的圧力)に依存したフェルミ面の変化を磁性発現境界(量子臨界点)の近傍で調べる共鳴角度分解光電子分光実験であるが、その後の研究によりフェルミ面変化が生じることが期待されるのが強磁性ー反強磁性境界であるという予想が出てきたため、この境界を調べることのできる組成の試料作成を新たに共同研究者に依頼し、この試料の供与を得た後に実験を行うということに計画を変更した。
本年度は、前年度から継続して行っている実験として、CeRu2Si2の希釈系化合物の一つであるCeRu2(Si,Ge)2における磁気量子臨界点近傍における磁場下での電子状態変化の理解につながる知見を得るために、エンド組成である常磁性体CeRu2Si2並びに強磁性体CeRu2Ge2に対するCe M4,5吸収端でのX線吸収磁気円二色性測定実験を大型放射光施設SPring-8の軟X線ビームラインBL23SUを利用して実施した。実験の結果、系が磁場や温度に応じて磁気秩序状態から常磁性状態に変わる際のc-f混成強度やCe 4f占有数等、4f電子状態の変化傾向を明らかにすることができた。この実験結果をまとめた論文をPhysical Review B 誌において発表した。
さらに、重い電子系形成に伴うCe 4f電子の磁性状態の変化を調べるため、(Ce,Gd)Niに対するX線吸収磁気円二色性測定実験によりCe 4f、Gd 4f、Ni 3d各電子の磁性状態並びに相互間の関係が組成に依存してどのように変化するかを調べる研究を開始した。本年度はCe0.2Gd0.8Niに対する実験を行い、実験結果を物理学会で講演発表した。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

重い電子系Ce化合物の量子臨界点近傍でのCe 4f電子状態の変化に関わる重要な知見として、量子臨界点近傍に位置する典型物質CeRu2Si2並びにCeRU2Si2の磁性発現境界におけるCe 4f電子の磁性状態の変化傾向をX線吸収磁気円二色性測定実験によって明らかすることに成功し、成果をPhysical Review B 誌の論文として発表することができた。別のCe化合物系での重い電子形成に関わるCe 4f電子の磁性状態の変化を明らかにするため、(Ce,Gd)Niに対するX線吸収磁気円二色性測定実験による研究も開始し、順調に実験を進めることができた。
共鳴角度分解光電子分光実験については、当初予定したものとは異なる組成の試料に対する実験が必要であることが新たな予想として出てきたため、必要な組成の試料の作成を新たに共同研究者に依頼し、実験の実施は次年度に繰り越すこととした。

今後の研究の推進方策

CeRu2Si2の希釈系化合物において組成に依存したフェルミ面の変化を共鳴角度分解光電子分光実験については、強磁性ー反強磁性境界を調べることが重要であるという予想が出てきたため、当初計画とは異なる組成の試料作成を新たに共同研究者に依頼中である。試料の供与があり次第、大型放射光施設SPring-8の軟X線ビームラインBL23SUを利用した共鳴角度分解光電子分光実験を実施し、磁性ー反強磁性境界におけるフェルミ面変化を検証する計画である。
(Ce,Gd)Niに対するX線吸収磁気円二色性測定実験による研究についても、組成の異なる試料への実験を進めるとともに、前年度の実験結果の解析を進め、成果の学会講演や論文での発表を進める計画である。

次年度の研究費の使用計画

本年度の実施予定だった共鳴角度分解光電子分光実験を次年度に繰り越すこととしたため、本年度に執行予定だった低温冷却用液体ヘリウムの購入費を次年度に繰り越すこととした。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Magnetic behavior near the boundary of 4f delocalization in ferromagnetic CeRu2Ge2 and paramagnetic CeRu2Si2 observed by Ce M4,5 XAS and XMCD2012

    • 著者名/発表者名
      T. Okane
    • 雑誌名

      PHYSICAL REVIEW B

      巻: 86 ページ: 125138-125148

    • DOI

      10.1103/PhysRevB.86.125138

    • 査読あり
  • [学会発表] Ce[x]Gd[1-x]Niの軟X線吸収磁気円二色性測定

    • 著者名/発表者名
      岡根哲夫
    • 学会等名
      日本物理学会2012年秋季大会
    • 発表場所
      横浜国立大学

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公開日: 2014-07-24  

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