従来、一成分のソフトコア系は結晶化しやすく分子動力学を用いたガラス転移の研究には適さないとされていた。しかし、十分大きな系を用いると、準安定構造(相図上のガラス分枝)が得られ、これは構造的にも、熱力学的にもガラス状態とみなせることが明らかになった。一成分のソフトコア系には、動的スケーリング則が厳密に成立するなどの特徴があるので、異原子の混合効果の影響を受けないガラス転移の有用なモデルとなることが分かった。さらに、系の比熱やエントロピーなどの物性を解析的な式で表すことができた。MDシミュレーションにより得られた結果を相図上にマッピングすることで、ガラス転移についての理解を深めることができた。
|