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2012 年度 実施状況報告書

スピングラスにおけるミクロカノニカル分布とカノニカル分布の等価性・非等価性

研究課題

研究課題/領域番号 23540440
研究機関東京工業大学

研究代表者

西森 秀稔  東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (70172715)

キーワードアンサンブルの等価性 / カノニカル分布 / ミクロカノニカル分布
研究概要

カノニカル分布とミクロカノニカル分布の等価性あるいは非等価性の成立条件を調べた。可解模型としての非線形相互作用を持つ球形スピングラスを取り上げ,その厳密解を通して非等価性が成立するための条件を明らかにした。この模型はレプリカ法を使わずに厳密解が求められることを示した。これは,レプリカ法の使用に伴う各種の数学的な問題点を回避できる非常に大きな利点である。相互作用の分布関数が必ずしも対象でない場合を取り上げ,パラメーターの値によって常磁性相,強磁性相,スピングラス相が存在することを示した。非線形性が強いと,これらの相の間の相転移が1次転移になることを示した。1次転移が起きる場合には,カノニカル分布では転移温度が唯一に定まるのに対して,ミクロカノニカル分布は負の比熱の存在を反映して転移温度が一定値には指定できない。これが,非線形球形スピングラス模型におけるアンサンブルの非等価性の表出であることが明らかになった。
さらに,長距離相互作用の存在がアンサンブルの非等価性に決定的に重要な役割を果たしていることを踏まえ,べき減衰する長距離相互作用系と完全に無限の相互作用レンジを持つ系の自由エネルギーが熱力学的極限で一致するための条件を,ランダム磁場ある場合について解析した。その結果,ランダム磁場がないときと全く同様の条件が減衰のべき指数について成立していれば,熱力学的極限で1自由度あたりの自由エネルギーが一致することを示すことが出来た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

非線形相互作用を持つ球形スピングラス模型については,当初の目的を明確に達成し,論文として発表できた。

今後の研究の推進方策

長距離相互作用系における各種の模型やアンサンブルの等価性を,ランダムさの効果との兼ね合いの観点からさらに研究していく。
なお,得られたデータの検証をより精密に行ってから国際会議等で発表することとしたため,旅費を次年度に使用する部分が生じた。

次年度の研究費の使用計画

これまでの研究成果を国際会議,国内学会等で発表するため旅費を計上する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Ensemble Inequivalence in the Spherical Spin Glass Model with Nonlinear Interactions2012

    • 著者名/発表者名
      Yuma Murata and Hidetoshi Nishimori
    • 雑誌名

      Journal of the Physical Society of Japan

      巻: 81 ページ: 114008 1-7

    • DOI

      10.1143/JPSJ.81.114008

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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