研究課題/領域番号 |
23540447
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
金田 行雄 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10107691)
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研究分担者 |
石原 卓 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10262495)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 乱流-非乱流境界面 / 直接数値シミュレーション / 条件付き統計解析 / 乱流の構造 / エネルギー輸送 / 物質輸送 / 一様等方性乱流 / 乱流混合層 |
研究概要 |
自然や科学技術に現れるさまざまな流れにおいて、しばしば乱れの非常に強い領域と弱い領域の境界面(乱流-非乱流境界面、以下T-NT界面と呼ぶ)が現れる。その境界面の存在は流れ場全体に大きな影響を及ぼす。本研究の目的は、乱流の大規模直接数値シミュレーション(Direct Numerical Simulation;以下DNSと略記)のデータ解析によって、高いレイノルズ数の乱流中のT-NT界面近傍の(A)流れの構造、(B)エネルギー輸送、(C)物質輸送機構を明らかにすることである。平成23年度の主な研究実績の概要は以下のとおりである。(A)一様等方性乱流の大規模DNSデータの条件付き統計解析によって、T-NT境界面近傍およびそれ以外の領域における速度、渦度場の統計の比較を行い、T-NT近傍の流れ場の構造の特徴を調べた。また、T-NT界面がその界面の一方から他方への影響の伝播に対するある種の障壁の役割を果たしていることを明らかにした。(B)一様等方性乱流中の空間上の各場所における、大きな渦から小さな渦へのエネルギー輸送(ここではカスケードと呼ぶ)の大規模DNSデータに基づく解析を、とくにT-NT界面近傍に着目して行った。また、Rapid Distortion Theory (RDT)と呼ばれる線形理論に基づいて、T-NT界面近傍でのエネルギーのカスケードおよび空間的輸送のモデルを構築し、その検証を行った。その検証は現在も続行中である。(C)流体運動によって運ばれる粒子群を、粒子の慣性効果を取り入れて追跡するためのシミュレーションコードを作成し、予備的解析を行った。その結果、粒子の慣性が大きいほど、乱流混合層のT-NT界面近傍に粒子が集まりやすいことなどが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄で述べたように、(A)T-NT界面面近傍の流れの構造について、おおむね当初予定通り一様等方性乱流の大規模DNSデータの条件付き統計解析を行い、その構造を調べることができた。また(B)エネルギー輸送については、一様等方性乱流中のエネルギーカスケードの大規模DNSデータ解析のみならず、新たなモデルを発展させることができた。さらに、(C)物質輸送機構については、流体運動によって運ばれる粒子群の追跡のためのシミュレーションコードを予定通り作成し、予備的解析を行うことができた。以上により、当研究はおおむね順調に進展していると評価される。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度以降も平成23年度と同じ研究組織を構成し、引き続き研究を行う。具体的には以下のとおり研究を行う。(A) T-NT近傍の構造: 一様乱流について、本研究によるデータとこれまで報告されている実験データとの比較を行う。また、乱流混合層のDNSデータの条件付き統計解析によって、境界面近傍およびその他の領域における速度や渦度場を比較し、T-NT境界面近傍の特質の抽出を行い、そのDNSデータ解析とこれまで報告されているデータとの比較を行う。(B) エネルギー輸送機構:一様乱流についての平成23年度の成果に基づいて、乱流中のエネルギー輸送機構についてRDT理論とDNSデータとの定量的比較・検証を行う。また、 乱流混合層について、とくに異方性(主流および主流直交方向による違い)に着目して解析を行い、乱流混合層中のエネルギー輸送のモデルの検討等を行う。(C) 物質輸送機構:平成23年度に作成した粒子追跡コードを用いて一様乱流中のT-NT境界面近傍の粒子の挙動を調べることにより、物質輸送機構、境界面移動・形成過程を明らかにする。また、T-NT境界面近傍以外の領域との比較により、N-NT境界面近傍の特質を明らかにする。乱流混合層についても同様に物質輸送機構を調べ、モデル提案および実験・DNSデータとの比較・検証を行う。最終年度には上記一様乱流、乱流混合層についての成果を統合する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度は、「研究実績の概要」欄の(B)で述べたように、Rapid Distortion Theory (RDT)と呼ばれる線形理論に基づく、乱流中のエネルギー輸送についてのモデル構築・検証が大きく進み、それに伴って当初平成23年度に予定していた名古屋大学情報基盤センターのスーパコンピュータを用いての大規模データ解析、およびそのための計算機使用予算を平成24年度以降に繰り越すこととした。そのほかの予算については、旅費等も含め、おおむね当初予定通り使用予定である。
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