研究課題/領域番号 |
23540447
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研究機関 | 愛知工業大学 |
研究代表者 |
金田 行雄 愛知工業大学, 工学部, 教授 (10107691)
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研究分担者 |
石原 卓 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10262495)
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キーワード | 乱流-非乱流境界面 / 直接数値シミュレーション / 一様等方性乱流 / 条件付き統計解析 / せん断層 / 乱流の構造 / エネルギー輸送 / 物質輸送 |
研究概要 |
自然や科学技術に現れるさまざまな流れにおいて、乱れの非常に強い領域と弱い領域の境界面(以下T-NT界面と呼ぶ)がしばしば現れる。平成25年度は前年度までに引き続き乱流中のT-NT界面近傍の(A)流れの構造、(B)エネルギー輸送、(C)物質輸送機構に注目して研究を行った。その主な研究成果は以下の通りである。 (A)強い乱流中にT-NT界面に挟まれた強いせん断層が現れる。直接数値シミュレーション(DNS)および実験データの解析により、その厚さはおおよそテイラーマイクロスケール程度であり、その内部はコルモゴルフスケール程度の直径を持つ渦管が密集し、エネルギー保有渦程度の非常に強い速度揺らぎを持っていることが分かった。ただし、そのせん断層領域は小さいため、流れ場全体の2次の速度相関や速度勾配相関などの低次の統計量には大きな影響を与えないことも分かった。 (B)DNSデータは、上記せん断層領域の外側からせん断層に向けて乱流エネルギーの輸送が生じ、その輸送によりせん断層内部で細長く密集した強い渦管の生成と非常に強いエネルギー散逸が生じるという理解と整合していることが分かった。なお、実験データにより、そのようなせん断層は長い持続性を持つことが分かった。 (C)乱流DNSコードに並列版3次スプライン補間粒子追跡コードを組み込み、乱流中の粒子追跡を行った。とくに、ストークス数St(流体への追従性を表す無次元数:St << 1 ならば、微粒子の軌跡は流体の流線にほぼ一致する)の各粒子位置における渦度(粒子渦度)への影響を調べた結果、粒子渦度のラグランジュ的相関はStが大きいほど早く減衰すること、およびある特徴的なSt(0.05程度)が存在し、その値近傍では粒子渦度の統計平均が低いことが分かった。このことは渦度の強いせん断層やT-NT界面近傍における粒子渦度がStの影響を受けることを示唆している。
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