研究課題/領域番号 |
23540460
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
新井 正男 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (40222723)
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研究分担者 |
初貝 安弘 筑波大学, 数理物質科学研究科(系), 教授 (80218495)
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キーワード | 電子構造 |
研究概要 |
前年度までに、磁場中での電子構造に関する研究を進めてきた。一様磁場中では磁気的並進群で決まる大きなスーパーセルが必要となるが、効率的な計算手法を構築して、プログラムの並列化を行った。そのなかで、軌道磁化を数値計算するために、磁場に対する熱力学ポテンシャルの数値微分を求めようとすると、計算量が増加してしまう問題が発生した。 今年度は、その問題を解決するために、周期格子系に対する軌道磁化を計算する方法に関して検討した。これまでに、様々な方法を用いて軌道磁化に表式が定式化されているが、本研究ではワニエ関数を出発点として、磁場中での(規格直交化されていない)局在基底を用いて軌道磁場の表式を定式化した。得られた表式はこれまでの結果と一致するが、今回の導出の利点は、軌道磁化を熱力学ポテンシャルの磁場に対する微分として導出できたことにある。周期格子の場合には、一様磁場に対して不連続にエネルギースペクトラムが変化することが知られているが、有限温度の場合には熱力学ポテンシャルの磁場微分を実行することが可能であり、軌道磁化の表式が得られることを示した。実際に、数値計算から求めた軌道磁化と、解析的表式を用いた結果は一致することを確認した。 簡単な模型を用いた数値計算により、境界のあるなしにかかわらず軌道磁化が同じ値となることを確認した。さらに、得られた解析的表式を磁場中での計算に応用して、軌道磁化の振動現象を数値計算により求めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、軌道磁化に関する表式と数値計算に時間を要したために、計画していた第一原理計算と連携に関する部分が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は研究の最終年度として、前年度までに得られた磁場中での数値計算手法の効率化と軌道磁化の表式を用いて、具体的な系に対する計算を進める。さらに、第一原理計算との接続に関する研究を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
ハードディスク、増設メモリ等を購入して、前年度までに購入した計算機を増強する。また、国内外の学会に参加して、研究成果を発表するとともに最新の研究動向を調査するための旅費として使用する。
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