研究課題/領域番号 |
23540464
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
斎藤 弘樹 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (60334497)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 超流動 / 量子渦 / ボース・アインシュタイン凝縮 |
研究概要 |
カルマン渦列とは、流れる流体中に障害物を置いたとき、その下流に生成される規則的な渦の連なりである。この現象は古くからよく知られており、流体の粘性が渦列の生成に重要な役割を果たすことが分かっている。ところが最近、本研究代表者のグループによって、粘性を持たない超流動体である気体のボース・アインシュタイン凝縮体においても、カルマン渦列が生成されることが数値的に明らかにされた。しかしながら、その生成機構や詳しい生成条件は明らかになっていない。本研究では、粘性を持たない超流動体においてカルマン渦列が生成される物理的機構を解明し、量子流体における流体不安定性の理解を深めることを目的としている。今年度の研究では、量子渦の生成過程と生成された量子渦の制御に関して大きな進展があった。これまで、移動するポテンシャルによる量子渦の生成はすべて青方離調した斥力型ポテンシャルが用いられていたが、それに対して我々は赤方離調した引力型ポテンシャルを用いて量子渦生成のシミュレーションを行った。その結果、従来の量子渦生成がポテンシャルの後方であったのに対して、ポテンシャルの前方に量子渦対が生成されることを明らかにした。これを利用すると、ポテンシャルを移動させ、ポテンシャルの前方に量子渦対が生成された瞬間にポテンシャルの動きを止めれば、量子渦対を任意の方向に「撃ち出す」ことができる。本研究では、量子渦対の方向だけでなく速度を広い範囲で制御して撃ち出すことができることを示した。また、量子渦対を撃ち出した後に、その方向や速度を変化させる方法も提案した。また、量子渦対を2成分BECの界面に入射させるというシミュレーションも行った。その結果、量子渦対が界面を透過したり界面から反射されることが明らかになった。以上の研究から、量子渦対生成に対する理解が深まり、研究目的の達成に一歩近づいたと言うことができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は量子流体における渦列生成の機構に関して理解を深める事にあるが、今年度の研究で、量子渦対生成のダイナミクスを詳細に研究し、発生する条件などについて多くの知見が得られたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も同様の物理系における量子渦生成のダイナミクスに関して数値的な研究を推進する。また、単純な1成分系だけでなく、2成分系、多成分系や散逸のある系などについて研究を行うと、より広い理解が得られると期待される。
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次年度の研究費の使用計画 |
流体力学に関する国際会議(ダブリンで開催)に招待されているため、旅費を支出する。予算が許せば、GPGPU(GPUを用いて超並列に科学技術計算を行う)が可能な計算機(40万円前後)を購入する。
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