原子光学は、回折や干渉などの光学現象を原子波で実現するものである。回折格子などの光学素子がμオーダーの周期構造をもつのに対して、原子線のドブロイ波長は極めて短く、同様の原子光学素子にはナノメートルレベルの周期構造が要求される。そこで我々は、生体物質が合成し自己組織化によって配列させる磁性ナノ粒子アレイに着目し、磁性粒子配列が形成する周期的ゼーマンポテンシャルを利用して、物質波に対する回折格子を開発する。本研究では、原子線散乱実験のための基盤技術として、レーザー冷却によってコヒーレントなCs低速原子ビームを生成するとともに、酸化鉄結晶(Fe3O4)を内包するフェリチンの2次元結晶化法を開発した。
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