研究課題/領域番号 |
23540472
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安田 正美 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (50322045)
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研究分担者 |
赤松 大輔 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究員 (90549883)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 光格子時計 / イッテルビウム / 絶対周波数計測 / 光コム / 青方離調魔法波長 |
研究概要 |
東日本大震災の影響(機械的振動、直後の停電、夏季節電による空調機運転の制限)により、本年度前半は実質的にYb光格子時計の運転は不可能だった。その後、復旧作業にあたり震災前の状態に復帰できた。その際、超高真空装置において、ターボ分子ポンプからイオンポンプに交換することで、振動の影響を排除できた。観察する原子数を規格化することにより時計遷移スペクトルのSN比向上に成功した後、このスペクトルに対して、時計遷移励起用レーザー周波数を安定化することに成功した。これにより、従来よりも短時間で絶対周波数計測が可能となり、安定度評価ができるようになった。絶対周波数計測は以下の方法で行った。原子遷移に安定化された時計遷移レーザー(波長578nm)と、波長1064nmの狭線幅レーザーに位相ロックされた狭線幅光コムの第二次高調波成分とのビート信号とその光コムの繰り返し周波数を計測する。また、時計遷移レーザーを時計遷移にロックするためのAOM駆動周波数も同時に記録することで、時計遷移の絶対周波数を測定することができる。アラン分散を用いた安定度評価ができるようになり、1,000秒の平均時間で、5Hzの不確かさでの周波数計測が可能となった。本研究課題である、青方離調の光シフトを起こさせるための、レーザー光源の開発に着手した。波長798nmの外部共振器半導体レーザー、テーパーアンプによる光強度増幅器、第二次高調波発生用光共振器等の開発に着手した。青方離調魔法波長がどの程度のものかという理論予測が皆無であるので、まずは、LED光源を用いた大まかな状況把握も必要となる。そのための、青色LED光源の準備も行った。以上により、青方離調魔法波長探索の準備が整いつつあるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度科研費交付申請書の研究実施計画に記述したように、本年度は光シフト用青色レーザー光源の開発に着手した。また、Yb光格子時計装置の完成度も高まり、来年度には、光シフト測定実験に着手できるものと期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
Yb光格子時計の分光時に、波長365nm、及び、385nmにピークを持つLED光を照射し、その光シフトを測定する。また、波長798nmの外部共振器半導体レーザー、テーパーアンプによる光強度増幅器、第二次高調波発生用光共振器等を用いたレーザー光源システムを完成させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
光シフト測定用光学系の構築や、第二次高調波レーザー光源システム(光学系、電子回路)等のために研究費を使用する予定である。本年度は大震災の影響により、本格的な分光実験に遅延が生じたため、次年度使用額が生じた。
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