研究課題/領域番号 |
23540472
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
安田 正美 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (50322045)
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研究分担者 |
赤松 大輔 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (90549883)
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キーワード | 光格子時計 / イッテルビウム / 絶対周波数計測 / 光コム / 青方離調魔法波長 |
研究概要 |
青方離調魔法波長を探索・決定するには、まず、素の状態のYb光格子時計の評価を完成しなくてはならない。そのために、Yb光格子時計の絶対周波数測定をさらに進めた。特に、光格子レーザー偏光の変動を抑制するために、光ファイバー出射後に偏光ビームスプリッターを設置した。これにより、ベクトル光シフトに伴う周波数変動を抑制できた。各種レーザーの周波数安定化システムの改善により、最大6時間に渡る連続運転が可能となった。この状態で、当所の保有するUTC(NMIJ)を基準として、絶対周波数計測を行った。この結果、3年前と比べて、一桁以上の不確かさ低減に成功した。この成果は、国際度量衡局傘下の時間周波数委員会に報告され、Yb光格子時計が秒の2次表現と採択されるに至った。青方離調光シフト誘起用レーザー光源として、第二次高調波発生による青色レーザーシステムの開発を行い、共振器安定化の結果、青色レーザー光発生に成功した。また、LED光源による光シフト測定を試みたが、有意な光シフトを観測することはできなかった。そのため、波長373nmと396nmの半導体レーザーを準備した。以上により、青方離調魔法波長探索のための光シフト測定の準備は整いつつあるといえる。さらに、当所で開発がほぼ完了しているSr光格子時計を参照として用いることにより、マイクロ波周波数基準を使わない、光周波数標準同士の比較を行えば、さらに短時間での光シフト評価が可能になると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度でYb光格子時計本体はおおむねの完成を見た。さらに、光シフト誘起用青色レーザー光の生成にも成功しているので、来年度には光シフト測定実験に本格的に着手できるものと期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
Yb光格子時計の分光時に、波長373nm、及び、396nmにピークを持つレーザー光を照射し、その光シフトを測定する。その2点における光シフトの符号を見て、より大きな波長範囲を掃引できる第2次高調波発生による青色レーザー光源の波長を同調し、より精密に魔法波長を決定することを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
青色レーザー光を原子に照射するための光学系(レンズ、ミラー等)の購入に充てる。
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