研究課題
平成24年度では以下の成果を得た。(1)前年度で得られた研究成果を論文として発表した。具体的には、以下の内容である:平面の端にあるエッジで液滴の濡れ広がりが抑制される効果(ピン止め効果)について実験的研究を行い、大きな成果が得られた。具体的には3本のピラー(直径2ミリ)を正三角形状(間隔0.5ミリ)に配列した中央に寒天溶液を静かに滴下し、ゲル化したのちに窪みにはまったゲルの形状を評価した。その結果、窪みの形状が球面であることを確認した。さらに窪みの角度が理論的な考察から得られた式によく合うことも見出した。これにより、ピン止め効果が保持される条件とピン止め効果を乗り越えるためのエネルギー障壁の大きさの定量的な議論が可能となる。一部の成果はまだ論文化していないため、現在、投稿に向けて準備中である。(2)この内容と関連して、1個の孔の上に液滴を配置した際、液滴が孔の中に侵入する際の液滴の自由エネルギー変化について考察した。その際、孔の大きさを基準にして液滴の体積を替えて自由エネルギーの計算を行なった。この内容は日本物理学会2012年秋季大会で発表した。(3)マルチピラー表面の濡れに関連して海洋生物の泡の付着エネルギーについて実験結果を説明する理論的考察を行った。現在、論文を投稿中である。平成24年度では論文7報(受理含む)、国内学会での成果発表9件(招待講演2件含む)、国際学会での成果発表4件の成果を得た。
2: おおむね順調に進展している
(1)これまでの研究成果により、マルチピラー表面に液体が浸透する際の条件、および浸透の際に乗り越えなくてはならないエネルギー障壁の大きさについて、実験的なアプローチの方法と理論的な取り扱いを一通り確立することができた。(2)現象の理解については8~9割程度の到達度である。(3)しかしながら、論文化の作業や学会発表が研究の進行にやや追いついていない状況である。以上の点を考慮すると、これまでの研究の到達度は6~7割程度であると考えている。おおむね順調である。
(1)これまでに得られている実験結果と理論的考察についての論文化の作業と学会での成果発表を行う。(2)さらには生物学的な立場からみたマルチピラー表面の濡れについて研究成果をまとめる。すでに昆虫を専門とする分類学者と共同研究を行っており、研究成果が得られている。
該当なし
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)
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