研究課題
現実の表面の濡れでは液滴のピン止め現象や表面構造への浸み込みがよく見られる。しかしながら、これらを定量的に評価することはほとんど行われていない。その理由として、濡れ現象は表面張力にみられるような力の次元で議論されることがほとんどであり、自由エネルギーの次元での議論が行われていないためである。本研究では、濡れ現象を自由エネルギーで記述し、ピン止め現象や撥水状態からの表面構造への浸み込みをエネルギー障壁としてして扱っている。平成25年度では表面構造への液滴の染み込み条件の定式化とピン止めのエネルギーの定量化を目指して研究を行った。その結果、以下のような研究成果を得た。(1)1つの孔に液滴を配置したとき、孔に液滴が浸入する実験を行い、実験結果を説明するために理論的な解析を行った。具体的には、液滴の体積は一定として孔の直径を変化させ、液滴が孔に浸み込む実験的な条件を得た。これにより、孔に浸み込む際のエネルギー障壁の大きさを理論的に見積もることができた。(2)さらに理想的なマルチピラー表面を考えて、液滴体積、ピラー間隔、ピラー直径を考慮した理論的な浸み込み条件を定式化した。その結果、針状結晶に覆われる表面において針の太さと間隔を系統的に変化させた撥水性の傾向を説明することに成功した。さらに、表面を傾けたときに液滴が滑り落ち始める滑落角(sliding angle)から、液滴がすぺり落ちるために必要なエネルギー障壁の大きさ(ピン止めエネルギーの大きさ)を見積もることが出来た。現在、これからの成果をまとめた論文を執筆中である。平成25年度では6本の論文(他のソフトマターでの成果を含めると合計12本の論文)および学会発表7件の成果を得た。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
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