生体分子の機能発現は、水和構造の揺らぎが深く関わっている。本課題では、タンパク質結晶の含水量に依存した構造転移の解析、および、ヌクレオチド等の高水和物結晶の含水量と温度に依存した構造転移の高分解能の解析をX線および中性子結晶構造解析などの実験的手法と、分子間相互作用に関する計算科学的手法を併用して行い、水の揺らぎと構造転移の相関を明らかにした。タンパク質の水和水の振る舞いについては、中性子非弾性散乱、計算機シミュレーションなどの解析に基づきこれまでに報告されてきた描像と良く対応する結果を得た。一方、核酸の水和水はタンパク質の水和水とは少し異なる性格を持つことが示された。
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