研究課題
最終年度である平成25年度は、DNAと単層カーボンナノチューブ(SWNT)の複合体(DNA-SWNT)に対するRecA蛋白質の反応を中心にした実験研究を行った。その結果、RecAの濃度を変化させながらDNA-SWNTに反応させると、濃度を高くするにつれてRecAがDNA-SWNTに多く結合することが判明した。測定は主に原子間力顕微鏡(AFM)観察と手順を改良したアガロースゲル電気泳動で行い、前者では複合体の直径変化から、後者では複合体のバンド位置の変化から、RecAの結合量を推測した。アガロースゲル電気泳動はSWNTの評価にも用いられてきているが、RecA、DNA、SWNTのバンド位置をそれぞれ検証したのは、本研究が初めてと考えられる。対照実験としてセルロースとSWNTの複合体にRecAを反応させたところ、結合は見られなかった。このことは、RecAはDNA-SWNTに非特異的に吸着しているのではなく、DNAを認識して結合した可能性が高いことを示唆している。一方、さまざまな条件での反応実験を行ったものの、RecAのらせん構造は確認できなかった。RecAと比較するため、一本鎖DNA結合蛋白質(SSB)についても関連した実験を行った。SSBの反応実験では、一本鎖DNA(ssDNA)と二本鎖DNA(dsDNA)をそれぞれ用いてssDNA-SWNT、dsDNA-SWNTを作製した。その結果、SSBはほとんどの条件下でssDNA-SWNTにのみ結合し、SSB濃度を大過剰にした場合のみdsDNA-SWNTにも結合した。RecAと同様、SSBもDNA-SWNTに対する分子認識が可能であり、ssDNAとdsDNAを見分けることができたといえる。
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