研究課題
昨年度までに開発したP波とS波のスペクトル比からQp/Qsの推定を行う方法を用いて,引き続き能登半島地震震源域周辺の地震波減衰構造を求めた.今年度は2011年度,2012年度に実施した臨時地震観測で得られた波形に上述の方法を適用した.それぞれの観測では2007年に行われた能登半島地震余震観測のときと同じ地点に観測点が設置されたため,2007年時の地震波形から得られたQp/Qsと比較し,震源域での地震波減衰構造に時間変化があったかを調べた.得られた2011年,2012年の地震波減衰構造では,能登半島西岸部を通る波線でQp/Qsが高くなること,また半島内部を通る波線でQp/Qsが低くなる傾向が示された.この傾向は2007年に得られたものとほぼ同じであり,両者の間で顕著な時間変化があったとはいえないことがわかった.ただし,2007年に震源断層上のQpの減衰が大きくかつQp/Qsが2.25を超える値を持つ波線が多く通過していた領域では,Qp/Qsの値が若干低下することもわかった.今回は,解析に用いられた地震数・観測点数に限りがあり,統計的な考察を行うことが難しかった.今後は,同様の観測機会により多くの観測点を再設置し,データを増やす努力が必要である.
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