研究課題/領域番号 |
23540491
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 久芳 東京大学, 地震研究所, 准教授 (70302619)
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キーワード | 地磁気変動 / ダイナモ理論 |
研究概要 |
マントル最下部は地震波速度のコントラストが非常に高い不均質構造をしている。この構造の成因の一つは物質の違いであり、ペロブスカイトからポストペロブスカイトの相転移や、核からの鉄の浸透により作られていると示唆されている。これらはマントル最下部の電気伝導度にも多大な影響を及ぼすため、電気伝導度も横方向に強い不均質構造を持つと予想されている。 平成23年度は、核―マントル境界を平面で模した場合について、核内部を表す一様電磁流体のダイナミクスについて定式化と解析を行ったが、解の収束性に問題があった。このため、平成24年度は、外部境界が球状の場合についての定式化と解析をした。生成される電磁場が球関数のモードで表されるため、境界の電気伝導度構造が単純な場合には、解は十分早く収束することがわかった。これにより、核―マントル境界付近にポロイダル磁場と同程度のトロイダル磁場がなければ、マントル最下部の電気伝導度不均質が核内部ダイナミクスにほとんど影響を与えないことがわかった。 他に、マントル最下部に電気伝導度不均質が存在し、核―マントル境界で軸対象トロイダル磁場が急激に変動した場合に地表で観測される電磁場を、球座標における数値計算から求めた。人工衛星による磁場観測から求められた地球磁場モデル CHAOS-4 および長基線海底ケーブル電位差データと数値計算結果を比較から、地震波速度が遅い領域が存在するアフリカ西部から大西洋東部の下に、1000-10000 S/m の高電気伝導度領域が存在することが示唆された。同様の低速度領域が存在する太平洋も周囲と比較して高電気伝導度である可能性はあるが、アフリカほどは高くはないことが予想される。この成果の一部を、イギリスで開催された地球深部研究(SEDI)シンポジウムとアメリカ地球物理学連合秋期大会にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
電磁流体力学解析については、球状導体の解析を優先して行ったため、予定していた境界が平面の場合についての十分な解析が完了していない。マントル内部の電磁誘導に関する数値計算と観測の比較については予想より大きい成果があった。しかし、国際誌(Nature)に投稿したものの掲載には至らず、未だに出版されていない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの解析では、マントル最下部の電気伝導度が核のダイナミクスに与える影響は限定的であった。このため、より現実に近く、また、マントル最下部不均質の影響が大きいと予想される、核表層数十 km が安定成層をしている場合についての定式化と解析を行い、マントル最下部電気伝導度不均質の影響を考察する。また、熱流量不均質が同時に存在する場合についても解析を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでに蓄積した解析結果に関係する数値データを保存する、簡易データサーバを購入する。研究成果を、11月に開催される地球電磁気・地球惑星圏学会と、12月に開催されるアメリカ地球物理学連合秋期大会(開催地:サンフランシスコ)で発表する予定であり、これらの学会への参加費と旅費として使用する。また、2編の論文にまとめて国際誌に投稿する予定であり、英文校正費と出版費として使用する。
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