マントル最下部は地震波速度のコントラストが非常に高い不均質構造をしている。この構造の成因の一つは物質の違いであり、ペロブスカイトからポストペロブスカイトの相転移や、核からの鉄の浸透により作られていると示唆されている。これらはマントル最下部の電気伝導度にも多大な影響を及ぼすため、電気伝導度も横方向に強い不均質構造を持つと予想されている。 平成24年度までに、核―マントル境界を平面で模した場合、および、それを球面と考えた場合の両者について、マントル最下部電気伝導度不均質が核内部の密度が一様な流体のダイナミクスに与える影響を調査したが、核表面付近数100km以内のみに影響が現れることがわかった。影響が限定的である一つの原因は核内部の密度が一様である仮定したことにある可能性が高いため、地震学から示唆されているような、核表層に低密度領域が存在する(安定成層している)場合について、調査する必要があると考えた。平成25年度に、核表層数十 km が安定成層をしている場合についての解析を開始し、平成26年度はその解析を継続した。本研究において設定した、トロイダル磁場が卓越するという条件においては、マントル最下部電気伝導度不均質の影響によってみられる流れは、成層の有無にほとんど影響されないことがわかった。 この成果の一部を、日本地球惑星科学連合大会(横浜)、地球深部研究(SEDI)国際シンポジウム(神奈川県三浦郡)とアメリカ地球物理学連合秋期大会(サンフランシスコ)にて発表した。
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