研究課題/領域番号 |
23540499
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
吉本 和生 横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科, 准教授 (10281966)
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研究分担者 |
中原 恒 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (20302078)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 固体地球物理学 / テクトニクス / 地盤構造 / 地震波干渉法 / 強震動 |
研究概要 |
本研究では、強震動観測の経費を飛躍的に低減する小型・低消費電力の強震動観測システムの開発と、同システムと地震波干渉法を利用した高空間分解能の大深度地盤構造の解析手法の確立を目的としている。この目的の達成により、将来的に関東平野では、首都圏地震観測網(MeSO-net)や首都圏強震動総合ネットワーク(SK-net)などの観測点と合わせて、1000を超える地点での強震動記録の集積が可能となり、その解析から堆積層中の地質境界や地震基盤の深度の地域変化を水平方向に数kmの空間分解能で明らかにできるものと期待される。 本研究の初年度にあたる本年度には、主に強震動観測システムの開発と実験的なデータ収録を行った。小型・低消費電力の強震動観測システムの開発は、多点における強震動観測を実施するために極めて重要な技術的ステップである。同システムには、その使用形態から、低予算で導入できることが求められるが、この点については、システム部品に低消費電力CPUやSDカードなどの汎用の電子部品を利用することで問題の解決が図られている。実験的なデータ収録については、横浜市立大学金沢八景キャンパス(横浜市金沢区)で実施した。観測期間は、2011年4月から同年12月までの約9カ月である。この観測によって、 2011年東北地方太平洋沖地震の余震を含む、観測地点において震度3以上であった6つの地震について強震記録を得ることに成功した。 以上の研究によって、小型・低消費電力の強震動観測システムの実用化について目途がつき、強震動観測の実施を含んだ次年度以降の研究計画を当初の予定通り遂行することが可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
・小型・低消費電力の強震動観測システムの試作機を開発した。同システムは、低消費電力16bit CPUと高感度MEMS型ディジタル加速度センサなどから構成されており、加速度センサの出力はC言語で開発された組み込みプログラムによってSDカードにイベントトリガ方式で保存される。また、手のひらサイズに小型・軽量化できて、単1乾電池4本で数ヶ月以上動作する。・上記のシステムを使用して、横浜市立大学金沢八景キャンパス(横浜市金沢区)において実験的な強震動観測を行った。観測期間は、2011年4月から同年12月までの約9カ月である。この観測では、都市部における強震動観測に最適なトリガロジックや、トリガレベルの設定などについて検討した。また、2011年東北地方太平洋沖地震の余震を含む、観測地点において震度3以上であった6つの地震について強震記録を得ることに成功した。・東京ガス(株)の超高密度地震防災システムSUPREMEによって収録された近地地震波形への地震波干渉法の適用によって、これまでにない二次元的な水平空間分解能で、関東平野の一部の地域における地震基盤構造の推定に成功した。・これまでに関東平野北部で実施されている反射法地震探査、屈折法地震探査、及び深層井調査などの情報を文献調査などにもとづいて集積した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の初年度にあたる本年度の研究によって、小型・低消費電力の強震動観測システムの実用化について目途がたち、強震動観測の実施を含んだ次年度以降の研究計画を当初の予定通り遂行することが可能になった。 当初の研究計画に従って、次年度以降の研究計画を予定通り遂行する。 研究計画の変更あるいは研究を遂行する上での課題は特にない。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究の初年度にあたる本年度の研究によって、小型・低消費電力の強震動観測システムの実用化について目途がたち、強震動観測の実施を含んだ次年度以降の研究計画を当初の予定通り遂行することが可能になった。 当初の研究計画に従って、次年度の研究費を使用して研究を遂行する。
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