研究概要 |
本研究計画の第二段階ではType I から II への遷移と,Type II から primary mascon 盆地への遷移を定量的に検証する数値モデルの構築を計画している.Type I と II 盆地の大きな違いは盆地中央の正の重力異常の幅と高さ,地形の凹凸である.長波長の盆地のくぼみと外周リング地形が重力と強い相関を維持したまま盆地中心を変形させるためには,弾性変形や粘性変形では説明が困難である.これらの盆地では共通して多重リング構造が認められることから,大規模な断層構造の発達(脆性変形)が重要な役割を果たしていると考えられる.そこで,境界要素法を用いた弾性・脆性変形モデルを開発する計画である.Type I, II 盆地の直下ではモホ面が隆起しており,正のフリーエア重力異常からはこの隆起が過補償状態にあると考えられる.モホ面隆起によって生じる応力場を計算し,破壊条件と照合して,断層の初期発生条件を探索する.破壊条件を満たしているケースでは,新たな境界面(即ち断層)を境界要素モデルに追加し,応力場を更新する.この過程を繰り返すことによって,多重リング構造の形成過程を模擬することが可能となる.3次元軸対称境界要素モデルの基礎方程式は確立したので数値モデル化を行う.
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