研究課題
科学研究費申請時には,平成27年度までの5ヵ年を三段階に分けて研究を実施する計画を立てた.平成23-24年度ではその第一段階として,月重力モデルと地形モデルの相関解析を実施した.特に平成24年度は,月高地について局所重力-地形相関解析を行った.月高地は盆地に比べ重力と地形の相関が高く,高次(短波長)の重力は,主として地形による(ブーゲー重力異常)と推定されている.従って,高次の局所重力-地形アドミッタンスは一定の高地密度に対応する値になるであろうと期待される.しかしながら,これまでの予備的解析では,計算された局所重力-地形アドミッタンスは必ずしも一定の値を示さず,次数と共に10-30 %の変動を示している.よって,平成25-26年度は,高地の局所重力-地形アドミッタンス解析に注力し,地殻内部構造の研究を行った.この定量的精度評価では,月地殻がこれまで想定された以上に密度が小さく,空隙率が高いことが示唆された.平成27年度は研究計画の第二段階としてType IからType IIへの遷移とType IIからprimary mascon盆地への遷移を定量的に検証する数値モデルの構築を計画した.境界要素法を用いた弾性・脆性変形モデルを開発し,プログラムの検討をおこなった.モホ面隆起によって生じる応力場を計算して,破壊条件と照合した上で断層の発生条件を探索するためのアルゴリズムについて理論的研究を行った.これらの月内部構造の研究は小惑星探査機はやぶさ2のレーザ高度計開発に活用されることになった.
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Space Science Reviews
巻: Online ページ: 印刷中 15 pp.
10.1007/s11214-016-0240-9
10.1007/s11214-015-0231-2
10.1007/s11214-016-0242-7
http://www.miz.nao.ac.jp/rise/content/news/topic_20160428
http://www.miz.nao.ac.jp/rise/content/news/topic_20160318