衛星によるハイパースペクトルおよびマルチスペクトルデータを用いた、衝突クレーターの解析結果を基にして、衝突クレーター候補地形を検出するための新しい検出用アルゴリズムの開発を行った。まず、かぐや/SELENE搭載のスペクトルプロファイラによる分光スペクトルデータを使って月面上の衝突クレーターの解析を行った所、特定スペクトルを示す場所は衝突クレーターの中央丘や縁に見つかることを突き止めた。また、ASTERによるマルチスペクトル画像を用いて、地球衝突クレーターについて解析を行った所、中央丘やピークリングに対応する部分は周辺と異なるスペクトル特性を示し、画像上で多重円環構造を示すことが分かった。これらより、衝突クレーター候補地形を探すアルゴリズムにおいては、この多重円環構造に着目すればよいということが分かった。そこで、実際の衛星画像から多重円環構造を自動抽出するための新しいアルゴリズム(回転ピクセルスワッピング法)の開発を行った。最終的に、そのアルゴリズムをASTERで観測される実際の衝突クレーターに適用したところ、実際の衝突クレーター構造の対応する部分の抽出に成功した。このことより、この回転ピクセルスワッピング法を用いることにより、大量の衛星画像を使った衝突候補地形の捜索研究が可能になった。
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