| 研究課題/領域番号 |
23540504
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| 研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
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研究代表者 |
藤江 剛 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 技術研究副主任 (50371729)
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| キーワード | 地震波干渉法 / 海底地震計 / エアガン / 構造探査 / 重合前深度マイグレーション |
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| 研究概要 |
本研究は、海底地震計とエアガンによる屈折法・広角反射法構造探査で得られたデータに地震波干渉法を適用することで、従来は構造解析に使用できなかった後続波から情報を引き出し仮想的な記録断面（データ）を合成し、そのデータを生かして解析することにより従来よりも更に深部の構造を詳細にイメージングすることを目指すものである。
平成24年度は、前年度までに確立した地震波干渉法による稠密な記録断面の合成手法を実データに適用し、得られたデータを用いて重合前深度マイグレーションにより深部反射面構造のイメージングを試みた。イメージング結果は、マイグレーション手法、マイグレーション速度構造、イメージングパラメータなどに依存する。そこで、本研究では様々な方法で構築した速度構造モデルやパラメータ、解析手法を組み合わせることで、おびただしい回数の重合前深度マイグレーション処理を実行し、もっともイメージング結果が向上する組み合わせを検討した。その結果、マイグレーション用速度構造に必要とされる条件や広角反射波を生かすための解析手法など、深部構造境界面をイメージングするための技術的な詳細が確立できた。とくに、地震波速度構造モデルに求められる要件は重要で、既存の広角反射法データを用いた重合前深度マイグレーション処理が失敗してきた主因は、データ密度が足りなかっただけではなく、用いた速度構造に問題があったことが明らかになった。
以上のように、従来は稠密な反射法探査データにしか適用できなかった重合前深度マイグレーション処理を、地震波干渉法を活用することで通常の海底地震計とエアガンを用いた構造探査データに適用する方法が確立でき、効果的に深部構造のイメージングができることが明らかになった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主な目的は、海底地震計とエアガンによる構造探査データを用いて、深部構造を従来より高解像度でモデリングする技術を確立することである。昨年度までに地震波干渉法により、従来は解析に用いることがなかった後続波からシグナルを抽出し、仮想的な観測記録を合成する方法を確立できた。今年度は、この合成記録を生かして、深部構造の詳細イメージングに適している重合前深度マイグレーション処理を適用することに成功した。得られたマイグレーション結果は、従来の地震波速度構造モデルに比べて圧倒的に分解能が高く、たとえばモホ面物性の場所による変化などを明瞭にイメージングできている。したがって、構造が単純な場所においては、既に本研究の主な目的は達成されつつある。
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| 今後の研究の推進方策 |
3年間の研究計画の最終年度になる平成25年度は、これまでの成果を論文発表するとともに、これまでに確立した地震波干渉法と重合前深度マイグレーションによる深部構造イメージング手法を、より構造が複雑な場所における研究に広げ、その潜在能力を確認する。
本研究では、地震波干渉法を活用して稠密な広角反射法データを合成し、合成データを用いて重合前深度マイグレーションや波形インバージョンにより詳細構造をイメージングすることを目指してきた。しかし、これまでの検討結果から、合成データは重合して用いるには有効であるが、単独で波形を議論するのにはS/Nが足りないことが分かってきた。そのため、波形インバージョンの適用は難しく、本研究では重合前深度マイグレーションを活用する方向で研究を進めていく。
重合前深度マイグレーションでは、海面からの多重反射波はノイズになる。したがって、多重反射が短時間で到達する浅海域では深部構造のイメージングは難しい。そこで、本研究では、水深が浅い部分を多く含む東南海地震が発生した南海トラフ域のデータの代わりに、より水深が大きく、本手法を生かしやすい2011年東北沖地震やその余震が発生した日本海溝域のデータを用いていくこととする。
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| 次年度の研究費の使用計画 |
最終年度である平成25年度は、論文発表のための諸経費、学会発表のための旅費などが発生する予定である。
また、大規模な地震波干渉法の計算は平成24年度に導入したワークステーションでしか実行が難しいが、重合前深度マイグレーション処理ならば比較的小さなワークステーションでも計算が可能である。そこで、長期間に渡る調査航海中にも重合前深度マイグレーション処理を進められるように、持ち運び可能な小型のノートパソコン型ワークステーション一式の購入を計画している。
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