研究課題/領域番号 |
23540505
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
杉岡 裕子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (00359184)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 超低周波地震 / 津波地震 / 南海トラフ / プレート境界地震 |
研究概要 |
2008年から2009年にかけて紀伊半島沖に展開した地動・水圧同時観測システムにより、1944年東南海地震震源域縁辺で発生した「超低周波地震」を震源直近で捉えることに成功した。それらのデータ解析の結果、従来、プレート収束域内の非地震域であると考えられていた海溝軸近傍においても、プレート境界面を滑る地震が起きていることを初めて明らかにした。また、その滑り速度は異常に遅く、そこで時々発生する「津波地震」もこれと同様のメカニズムで起きている可能性を示唆するものであった。「津波地震」は地震マグニチュードに比べ大きな津波を発生することから、予測を越えた被害に及ぶことも多く、本研究結果は、防災研究に対しても寄与できるものと考えている。その研究成果を論文にまとめ、Nature Geoscienceに3月に受理された。2011年3月11日に発生した東北沖地震も大きな津波を発生したが、海溝軸付近の滑りは津波地震的であったと考えられている。本年度は、その地震震源域近傍から海溝軸に及ぶ海域に於いて、5台の地動・水圧同時観測システムを平成23年5月から6月にかけて展開した。これらの測器の回収は平成24年度5月に実施する予定である。また地震後には、東北沖地震震源域縁辺において、超低周波地震が発生している可能性が高いことから、平成24年2月から3月にかけて南端である房総沖の特に海溝軸に近い海域に於いて、同システムを6台設置した。回収は平成25年度4月を予定している。また、今年度計画していた装置開発面については、予定していた絶対圧力計用のデータロガーの作成は完了し、試験観測を東北沖震源域において始めたところである。データ回収は平成24年度7月を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
東北沖地震が発生後に研究観測船を用いた海域観測が臨時に計画されたため、それに便乗し該当観測測器を展開する機会に恵まれたことが大きい。緊急ではあったが、速やかな対応が為されたことにより、2回の観測が実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に宮城沖ならびに房総沖に展開した地動・水圧同時観測システムをそれぞれ平成24年度と平成25年度に回収することを計画している。回収データの解析については、先行研究である東南海域で起きた『超低周波地震」解析結果に基づき進める方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は平成23年度に設置展開した宮城沖ならびに房総沖の回収航海の際の旅費に使用する。
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