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2012 年度 実施状況報告書

海底地動水圧同時観測による超低周波地震に伴う海底地殻変動の検出

研究課題

研究課題/領域番号 23540505
研究機関独立行政法人海洋研究開発機構

研究代表者

杉岡 裕子  独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 研究員 (00359184)

キーワード南海トラフ / 超低周波地震 / スロー地震
研究概要

本研究計画提案のきっかけともなった東南海地震域で発生した超低周波地震活動の海底地震観測研究の結果をまとめ、Nature Geoscienceにて発表した(2012年5月7日付け)。この結果は、従来、非地震発生域と考えられていた沈み込み帯のごく浅部のトラフ軸近傍においても歪みが蓄積され得ることを示すものであった。また、この海溝軸近傍で起きるモーメントマグニチュードから推定されるよりも大きい津波を伴う「津波地震」の発生メカニズムがこの超低周波地震のそれと同様であることを示唆するものでもあった。
2011年3月11日に発生した東北沖地震は、その破壊域は海溝軸沿いに500kmにも及んだが、その一部は津波地震であったと考えられている。私たちは、2010年8月から2011年8月までの1年間、日本海溝アウターライズに於いて、広帯域地震計と微差圧計を用いた観測網を展開しており、東北沖地震前後の地震活動の全貌を捉える事に成功した。この記録には、東北沖地震の前震とされる3月9日のM7クラスの地震も含まれており、前震から本震に至る過程において、上述の東南海域で見られたように海溝軸近傍での地震活動が本震を引き起こす重要なエビデンスであると理解している。現在、この記録を解析中であり、来年2013年度には、論文にまとめる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本計画の目的であった東南海域に於ける超低周波地震活動について解析を終えたところで、2011年3月の東北沖地震が発生したが、この地震活動は東南海域における超低周波地震活動と同様に、海溝軸近傍における地震活動であった。両者は全く異なる地震過程であるが、海溝軸近傍における歪み解放過程という共通項を持つイベントであると理解している。本研究計画に先行した東南海域に於ける広帯域地震計を用いた海底観測と同様の観測を東北沖地震時にも行っていたため、海溝軸付近における歪みの蓄積ならびに解放という一連のプロセスに資する研究へと本課題はスムーズに移行しており、当初の計画以上の成果が現れつつある。

今後の研究の推進方策

上述してきたように、2011年3月の東北沖地震時にも、広帯域海底地震計を用いた海底観測を行っており、データ解析を進めているところである。これらは、本研究課題である東南海域における超低周波地震活動観測研究と同様、東北沖地震についても、海溝軸付近における歪みの蓄積ならびに解放という一連のプロセスに資するデータであると考え、2011年3月9日のM7クラスの前震から3月11日のM9の本震に至る過程について理解を深めていきたい。それには、私たちの1年間の機動的な観測データのみならず、1997年から3月11日まで記録し続けた釜石沖ケーブル式地震計ならびに圧力計の長期連続データ解析も同時に進めていくものとする。

次年度の研究費の使用計画

本課題で計画していた広帯域海底地震観測はほぼ完了し、全てのデータを回収したところである。次年度は、解析結果をまとめていき、内外での学会発表を考えている。研究費はその旅費に使う計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] A temporal change of shear wave anisotropy with the marine sedimentary layer associated with the 2011 Tohoku-Oki earthquake2013

    • 著者名/発表者名
      T. Tonegawa, Y. Fukao, K. Nishida, H. Sugioka, A. Ito
    • 雑誌名

      Journal of Geophysical Research

      巻: 118 ページ: 607-615

    • DOI

      10.1002/jgrb.50074

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tsunamigenic potential of the shallow subduction plate boundary inferred from slow seismic slip2012

    • 著者名/発表者名
      Hiroko Sugioka, Taro Okamoto, Takeshi Nakamura, Yasushi Ishihara, Aki Ito, Koichiro Obana, Masataka Kinoshita, Kazuo Nakahigashi, Masanao Shinohara, Yoshio Fukao
    • 雑誌名

      Nature Geoscience

      巻: 5 ページ: 414-418

    • DOI

      doi:10.1038/NGEO1466

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Detection of small earthquakes along the Pacific-Antarctic Ridge from T-waves records by abyssal ocean-bottom observatories2012

    • 著者名/発表者名
      Aki Ito, Hiroko Sugioka, Daisuke Suetsugu, Hajime Shiobara, Toshihiko Kanazawa, Yoshio Fukao
    • 雑誌名

      Marine Geophysical Research

      巻: 33 ページ: 229-238

    • DOI

      doi:10.1007/s11001-012-9158-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TIARES Project -Tomographic investigation by seafloor array experiment for the Society hotspot2012

    • 著者名/発表者名
      D. Suetsugu, H. Shiobara, H. Sugioka, A. Ito, T. Isse, T. Kasaya, N. Tada, K. Baba, N. Abe, Y. Hamano, T. Pascal, J-P. Barriot, R. Dominique
    • 雑誌名

      Earth Planets Space

      巻: 64 ページ: 1-4

    • DOI

      doi:10.5047/eps.2011.11.002

    • 査読あり
  • [学会発表] ベクトル津波計の特徴

    • 著者名/発表者名
      浜野洋三、杉岡裕子、藤浩明
    • 学会等名
      日本地震学会
    • 発表場所
      函館
  • [学会発表] Tsunami-induced electromagnetic fields in the ocean

    • 著者名/発表者名
      浜野洋三、杉岡裕子
    • 学会等名
      電磁気学会
    • 発表場所
      札幌

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公開日: 2014-07-24  

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