異なる植物種間で吸水深度が異なるという「水の吸い分け」メカニズムの解明と、信頼性の高い吸水密度プロファイル推定手法の確立を目的として、ヒノキ単純林とアカマツ・シラカシ混合林を対象とした調査を行った。その結果、同位体トレーサー手法と数値モデル手法を補完的に用いることで信頼性の高い吸水密度プロファイル推定が可能となることが示された。また、水の吸い分けは土壌水分が不足する場合に種間競合による生態系全体としての水利用効率減少を回避するために生じ、競合種の初期根系分布と蒸散量の多寡が吸い分けのパターンを左右すると結論づけられた。
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