本課題は当初は昨年度に終了予定であったが、本課題の成果の一部が国際学術誌に投稿中であったため本年度に繰り越しし、論文公表の実現を図った。その結果、国際的に著名な学術誌に本課題の成果の一部を纏めた論文が受理され掲載されるに至った(アメリカ地球物理学連合発刊 Journal of Geophysical Research 誌、論文名「Formation of bottom water and its variability in the northwestern part of the Sea of Japan」)。掲載論文では、日本海北西部における斜面重力流の物理過程についても検討し、2001年冬季の重力発生時には、陸棚水が約9倍容量の周囲海水をエントレイン(連行加入)していたと推定した。また、本成果は国際学会にても発表される(発表確定、第18回 Pacific Asian Marginal Seas meeting)。 また、斜面重力流に伴う傾圧不安定渦とそれによって生じる海水輸送過程を調べるための昨年度までの数値実験について、一部追加の検討を加えた。斜面重力流に伴う海水沈降という、鉛直方向の運動が大事な現象を再現するために不可欠な非静水圧モデル(静水圧近似をしないモデル)で再現された傾圧不安定渦に標識粒子を投入し、海水の輸送過程を標識粒子追跡モデルで調べる過程において、各標識粒子を起源位置ごとに色分けすることで、傾圧不安定渦に取り込まれる粒子の移流過程の明瞭な視覚可を図った。
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