研究概要 |
海上での気象パラメータ(風速・海面水温など)に日内変動は存在するのか、また、存在するならばその大きさはどの程度か、そして日内変動の空間分布にはどのような特徴があるのかを調べた。具体的な方法として、海上ブイによる観測データと衛星観測データを解析した。ブイデータに対しては、初めに1年間を通してのDaily mean Marchを計算し、それから各データの極大、極小になる時間を推定した。その結果、ほとんどのブイデータに対して、日内変動の存在が示されるとともに、その振幅や位相についての詳細な情報を得ることに成功した。次に、ブイデータに対して、調和解析とスペクトル解析を月ごとに行うことにより、1日周期、あるいは半日周期の変動に関する詳細な情報を得ることに成功した。1日周期と半日周期のどちらについても、位相や振幅は物理量や場所によって異なることは、Daily mean Marchの結果でも述べたが、さらに、物理量や場所によっては、季節変動が大きいこともあることが示された。観測点がまばらにしか存在しないブイデータだけで、こういった日内変動を全球的に調べることは難しい。そこで、このような研究に必要な、高時空間解像度の衛星データを作成する方法についての検討も行った。単一の太陽同期衛星のデータでは同一地点を1日に2回しか観測できないので、これによって日内変動を解析することは出来ない。そこで、複数の衛星データを利用して、日内変動を解像できるような高時間解像度の海上風速データを作成することを検討した。ASCAT, OSCAT, AMSR2, Windsatの4種類の人工衛星による観測データを線形的に内挿して1時間ごとのデータを作成し、その精度を海上ブイによる現場観測データと比較した結果、予想以上に良い精度の欠測が無いデータセットが得られた。
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