研究課題
地球の極域電離圏(高度100km)夜側では、数時間に一度、オーロラが爆発的に増光する。このオーロラ爆発は、より高々度の磁気圏尾部に蓄積された電流エネルギーが、電離圏にショートする現象であると考えられる。本研究計画では、このオーロラ爆発を、地磁気逆計算法により解明する。本年度は、地磁気逆計算法に必要な、電離層電気伝導度の研究を完成させ、研究成果をJournal of Geophysical Research誌において発表した。特に、地球の昼間電離圏における、高度積分した電気伝導度の、太陽天頂角(SZA)依存性を調べた。その結果、ペダーセン伝導度に対するホール伝導度の、比について近似式を理論的に得た。電気伝導度は電子密度に依存している。昼間の電離圏電子は、太陽の極端紫外線による、中性大気の電離を生成源としている。このような電子の密度は、特にE層ではChapman理論により近似されることが多い。しかし、過去の研究においては、伝導度のSZA依存性が、Chapman理論による最大電子密度とコンシステントなモデルや、矛盾するモデルの両方が提唱されている。本研究では、ペダーセン伝導度は、Chapman理論を修正すれば、観測とコンシステントであることを見出した。そのような修正は、E層の topsideでは垂直方向に電子密度が一様であると近似すること、また、中性大気温度が高高度ほど高くなる効果を取り入れることである。SZAが大きくなるほど、つまり夜に近づくほど、伝導度は小さくなるが、この変化は、ペダーセン伝導度よりも、ホール伝導度の方が大きかった。これは、SZAが大きいほど、ホール層が薄くなるからであると理解される。この効果を、Chapman理論における最大電子生成高度により表現し、電気伝導度比の近似式を作成した。
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Journal of Geophysical Research
巻: 119 ページ: 10,397-10,415
10.1002/2014JA020665
http://st4a.stelab.nagoya-u.ac.jp/gemsis/