研究課題
平成25年度には、前年度の平成25年1月に米国東海岸にあるNASAワロップス実験場(WFF)にて実施したテストフライト実験にて観測成功したリチウム(Li)発光雲のデータを参考に、日米共同でLi放出に関係する計3回のロケット実験を国内及び海外にて実施した。我々は全ての実験に観測者を派遣した。本科研費ではその旅費一部を賄った。平成25年5月には、西太平洋マーシャル諸島のクワジャラン環礁にてNASAのロケット実験に参画し、地上3地点からのLi発光雲観測に成功した。同年7月には、前半にNASA/WFFにて昼間条件下のLi放出実験を日米共同実施し、NASA航空機からのLi発光雲の観測に成功、発光S/N条件に関わる定量的な指標を得た。後半には、鹿児島県にあるJAXA内之浦宇宙空間観測所にてS-520-27/S-310-42ロケット実験を実施し、JAXA実験用航空機「飛翔」を用いたロケット・航空機・地上同時観測を実施した。我々は、航空機観測と地上観測を担当し、深夜、満月近くの月明条件下でのLi発光雲観測に世界初成功した。昼間条件ならびに深夜・月明条件におけるLi共鳴散乱光を用いた風速計測は、チャレンジングな課題であったが、JAXA、NASA、米Clemson大学、京都大、北海道大の研究者とともに、過去の実験結果を較正データを基にした計算と発光強度予測の定量に取り組み、困難な実験を成し遂げた。これにより全地方時においてLi放出を用いた熱圏風速測定技術を獲得できた。月明化での実験成功はエクストラサクセスと言える。実験準備や、実験条件に関わる定量議論等に予想以上の時間を費やし、職務全般を投げ打って実験準備に供したことから、実験終了後の職務全般の収拾にも時間を要し、成果の国内・国際学会発表までは達成できたものの、新規成果公表のための英文査読誌への投稿論文執筆については平成25年度内には達成できていない。関係研究者間で議論しつつ、科学成果の初期解析結果公表に向け現在作業を進めている。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 1件) 備考 (3件)
An Introduction to Space Instrumentation
巻: 1 ページ: 53-62
International Symposium on Space Technology and Science
巻: 2013 ページ: m-22
巻: 2013 ページ: m-17
巻: 2013 ページ: m-20
http://www.isas.jaxa.jp/j/topics/topics/2013/0720_s-310-42.shtml
http://www.nasa.gov/mission_pages/sounding-rockets/news/evex-0507.html
http://www.nasa.gov/content/daytime-dynamo-rocket-launch/