研究課題/領域番号 |
23540527
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
滝沢 茂 筑波大学, 生命環境系, 講師 (80114099)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 結晶内エネルギー |
研究概要 |
1. 1軸破壊実験で破壊時の弾性歪みエネルギーの解放分配を明にする実験を、合成石 英の単結晶を用いて進めてきた。その結果、破壊を生じさせた弾性歪みエネルギーは30 joule から90 joule で、この破壊エネルギーは表面エネルギーとして約1%、結晶粒子の非晶質化に消費したエネルギーは60%から90%で、他に波動エネルギー、音エネルギーなどで解法されることが明になった。巨大地震時に放出される破壊エネルギーの50%以上は想定外の放出があると指摘されている。当該の実験成果は想定外放出エネルギーとは破壊粒子内で消費されるメカニズムであることを、内外を通じて初めて明らかにした実験成果である。2.粉砕石英粒子内で消費される歪みエネルギー量(Joule)と粉砕粒子径及びXRDによる結晶化度(CL)間における相関を求める測定と解析を進めている。この三者には線形的な相関があることが明に成りつつある。この相関をより確実にして近似式を求めることにより、地殻の延性、脆性変形をエネルギー変化として扱うことが可能となる。特に、マイクロカリーメーターを用いずに、XRDデータからエネルギーの概略を把握できる。この方法はより多くの研究者が活用でき、研究の進展を促進する。3. 4.11のいわき内陸地震で地表に現れた地震断層の研究を着手した。特に断層の変位量と断層ガウジに含まれる石英の粉砕粒子のCLを測定開始した。現在、原岩とガウジから抽出した石英のCLは明にことなり、大旨地震断層時に30~50 Joule程ガウジ形成時に消費されていることが明らかになりつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)1軸圧縮破壊実験で破壊時の歪みエネルギーは粉砕粒子内で50%~90%を消費されることが実証され、想定外エネルギーを明にした。さらに粉砕粒子内消費のエネルギーとXRDによる結晶のCLの間に線形的相関があることが初めて明らかになった。2)4.11 いわき内陸地震で地表に現れた地震断層の粉砕粒子が記録しているエネルギー量を明らかにすることで実験成果と天然の断層を結びつける究極の研究対象である。
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今後の研究の推進方策 |
1軸破壊実験を更に進めて、破壊時歪みエネルギー量と粉砕粒子内消費エネルギー量の割合の一般化を追求する。更に粉砕粒子内消費エネルギー量と結晶のCL値の関係を明にする。上記の結果を用いて4.11いわき内陸で発生した地震断層面上で消費されたエネルギー量推定を推定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1. 平成24年度 1) マイクロカロリーメーターで粉砕粒子内で消費したエネルギー測定をする。この 測定用の試料作成(酸処理、粉砕によるアモルファス物質作成)のために、塩酸、硝酸、乳鉢棒、ボールミル用メノウ球などを購入する。また、マイクロカロリーメーター用テフロン部品(フッ化水素酸、テフロン)を購入する。 2) 圧縮・引っ張り破壊実験に使用する合成石英の購入。 3) 天然の断層岩の薄片作成用の消耗品購入(申請者が考案した含水未固結試料の固結法に用いる樹脂とエタノール、プロピレンオキシド、)。またXRDによる結晶のCL測定用器具・消耗品(フラスコ、シリコン無反射板) 4) 4.11 いわき内陸地震断層の現地地質調査費用および調査・研究の補助の為の経費
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