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2013 年度 実施状況報告書

断層岩・マイロナイト形成のエネルギー -地質学・物質地震学の新展開-

研究課題

研究課題/領域番号 23540527
研究機関筑波大学

研究代表者

滝沢 茂  筑波大学, 生命環境系, 講師 (80114099)

キーワードガウジの表面積 / 仕事量 / 地震断層
研究概要

① 巨大摩擦すべり実験(防災研)に参加して、模擬地震(M6)で生成されたガウジの物質科学的解析を行った結果、以下の新知見があきらになった。1)ガウジの表面積と与えた仕事量は正の相関を示す。この正の相関に基づき、M8クラスの地震断層で生成されるガウジの表面積を推定すると、400m^2/g以上となる。この推定値を基にして、天然の断層ガウジの表面積を測定することで、過去に起きた地震断層の規模(M)が推定可能となった。2)仕事量と生成ガウジ量(g)には顕著な相関を示さない。この事は、従来ガウジの厚さは断層の変位量に相関すると指摘されているが、再検討を要する新知見である。
② 2軸すべり試験機で石英粒子の粉砕後の表面積変化と仕事量の関係は正の相関を示すことが明らかになった。
③ 4.11いわき内陸地震断層で地表に露出した断層すべり面上に生成されたガウジの解析を行ったその結果、以下のことが明らかになった。1)4.11地震断層で活動したすべり面の厚さは約15ミクロンの厚さに限られて、そのすべり活動をした部分は20nmサイズの粒子がすべり方向に緻密に配列した組織を呈している。この部分から離れたガウジの組織はランダム配列で粉砕粒の粒径もミクロンオーダー以上が特徴である。2)4.11の地震すべりで生成されたガウジを含む2mm幅の粉砕粒子の表面積は48m^2/gで、他のガウジ(4.11で活動しなかったガウジ)では7~10m^2/g の値を示す。この48m^2/gの比表面積は100オーダーの表面積に相当し、このオーダーはM6~7クラスの地震に相当する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

① 二軸すべり実験で生成された粉砕粒子の表面積と与えた仕事量が正の相関を示すことが明らかになった。これは従来検証されていない新知見である。
② 石英の粉砕粒子を用いてすべり実験で生成された粉砕粒子の表面積増加エネルギーの見積もりができたが、石英粒子内消費エネルギーが完全に測定終了していない。
③ 4.11いわき内陸地震断層で生成されたガウジの表面積測定できた。これは2005年にnatureに報告され以来、世界で2番目の測定成功例である。しかし、マイロナイト形成場のエネルギー推定の為の測定が途中である。

今後の研究の推進方策

① 二軸すべり実験で生成された石英の粉砕粒子の溶解熱測定に基づき、与えた仕事量の散逸割合、粉砕粒子の表面エネルギーと石英粒子の非弾性変形エネルギーどの位消費されたかを解明する。
② マイロナイト中の石英粒子の溶解熱測定から当該粒子の非弾性変形エネルギーを求める。得られた結果と転位密度から推定される非弾性変形エネルギーを比較する。
それらを基にして、地殻の延性変形体のエネルギー量を推定する

次年度の研究費の使用計画

マイロナイト中の石英粒子の溶解熱測定予想以上に時間がかかり、マイロナイト帯内で消費したひずみエネルギー量の測定が終了していないため。
25年度に引き続き、マイロナイト中の石英粒子の溶解熱測定を進めて、マイロナイト帯におけるヒズミエネルギー分布を明らかにする。その成果を学会発表・論文で公表する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Clay fabric of fluid-mud depsits from laboratory and observations:Potential application to the stratigraphic record.2013

    • 著者名/発表者名
      N.Nishida, Ito M.,Inoe A. and Takizawa S.
    • 雑誌名

      Marine Geology

      巻: 337 ページ: 1-8

    • 査読あり
  • [学会発表] 巨大二軸型岩石摩擦試験機で生成されたガウジの物性特性2013

    • 著者名/発表者名
      滝沢茂・福山英一・山下太。溝口一生・川方裕則
    • 学会等名
      日本地質学会
    • 発表場所
      東北大f学
    • 年月日
      20130914-20130916

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公開日: 2015-05-28  

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