①断層岩形成に要する破壊エネルギーを明らかにする為に、巨大摩擦すべり実験(防災研)に参加して、模擬地震(M6クラス)で生成されたガウジの表面積は摩擦すべりに要した仕事量にほぼ直線近似することが明らかになった。またガウジのg当たりの表面積(以下、比表面積と呼ぶ)とガウジの重量と比表面積の間には次の関係があることも明らかになった。ガウジ生成の仕事量がほぼ等しいとき、ガウジの重量と比表面積は逆相関する。他方、ガウジの比表面積がほぼ変わらないとき、ガウジの重量と仕事量は正の相関を示す。 上述の新知見は、断層岩の重量(体積、厚さ)のパラメーターだけでは断層岩形成のエネルギーの推定は難しく、ガウジの比表面積とガウジの重量が得られて、初めて断層岩形成に要したエネルギーが求められる。 ②巨大摩擦すべり実験で用いたハンレイ岩の粉砕粒子が消費した非弾性変形エネルギーは仕事量の10%から30%を消費していることが初めて明らかになった。 ③天然のマイロナイト帯で消費されている非弾性変形エネルギーについては、次の問題を克服する必要があることが明らかになった。マイロナイトの原岩の溶解熱を求めて、この値を出発物質とした溶解熱を求める必要がある。次に、マイロナイト化した岩石全体の溶解熱を測定して、出発物質の溶解熱の差を求め、その増加分の溶解熱がマイロナイト化に要したエネルギーと推定される。当該研究の成果報告には間に合わなかったが、現在溶解熱を測定中である。
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