研究課題
最終年度は,ニュージーランドのオークランド北東に位置するモツタプ島西岸の地質調査を行い三畳紀中期(early Anisian)の赤色チャート層を詳細に調査し,新たな炭酸マンガンノジュールを多数採取した.とくにアドミニストレーションベイに露出する連続的な層序断面(全層厚6.7m)である赤色チャート層(ADA Section)について,分光測色計を用いて色測定を行いL*a*b*値の層位的変化曲線を作成した.その後HF処理したチャート単層スラブの高精細SEM観察により堆積構造および堆積相の解析を行い,チャートの堆積過程を明らかにした.さらに半遠洋性岩である紫色頁岩に挟まれる炭酸マンガンノジュールから産する放散虫化石群集の解析を行った.1) ADAセクションについてチャート単層の堆積相区分を行なった結果,定常的な遠洋性チャート相(G2相)と定常的な遠洋性粘土相(E1/E2相)と生物源構成要素(海綿骨針や放散虫殻)の密集相(G1相)に区分でき, チャート単層を構成する.堆積相は珪質化石含有量10~30%の高珪質粘土層をG2相,珪質化石含有量1~10%の低珪質粘土層をE1, E2相,シルトサイズの基質から成る層をD相,異常堆積層をF相と新たに区分した.2) G1相 は層位的に8%~100%と変動するが,放散虫殻と海綿骨針の密集層(G1-1相)が優勢であり,放散虫殻のみの密集層(G1-2相)は産出頻度が低い.3)本セクションの下部(0-2.1m)では,基本的に定常的なE1/E2相とG2相の組み合わせからなり,短期間のエピソード的なG1相を挟むことで特徴づけられる.G1相は下位から中部(0.6-3.6mにかけて)増加していく傾向が認められる.4) 上位の炭酸マンガンノジュールからは,保存良好な放散虫群集が産出し35属91形態種に識別され,その年代はlate Anisianを示す.
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New Zealand Journal of Geology and Geophysics
10.1080/00288306.2014.889722
http://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/plaj/Labo/Geology/nzresearch.html
http://agri.mine.utsunomiya-u.ac.jp/hpj/deptj/plaj/Labo/Geology/column2.html