研究課題/領域番号 |
23540532
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
星 博幸 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (90293737)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 地質学 / テクトニクス / 地球電磁気 / 層位・古生物学 |
研究概要 |
23年度は研究予定地域(三重県一志地域,愛知県知多半島,長野県富草地域)に関する文献資料調査と知多半島,富草における地質調査・試料採取を実施した.23年度は当初,一志での調査を予定していたが,文献資料調査の結果,先に知多半島と富草を調査するのが妥当という判断になった. 知多半島では地表踏査による下部中新統師崎層群の岩相層序および地質構造の確認,予察的な磁気測定のための岩石試料採取を実施した.師崎層群最下部層の日間賀層は主に砂岩・シルト岩の互層からなり,珪長質凝灰岩を挟在する.模式地(日間賀島)の本層は北東または東北東の走向を示し,北西または北北西に20度程度で傾斜する.護岸工事等の影響で,層序に沿った連続的な試料採取は困難のようである.佐久島の本層は全体的に緩傾斜を示し,緩く褶曲しているようである.佐久島における層厚は70 mと推定される.露出状況から,日間賀層の試料採取は主に佐久島で行うことにした. 富草でも地表踏査による下部中新統富草層群の岩相層序および地質構造の確認,予察的な磁気測定のための試料採取を実施した.富草層群は全体として上方細粒化を示し,古地磁気の検討は層群上部を中心に行うことにした.地質調査により,富草層群に貫入する火山岩岩脈を発見した.記載岩石学的検討により,本岩はやや変質した粗粒玄武岩であることが判明した.本地域における火山岩の活動は従来知られておらず,24年度により詳しい岩石学的検討と放射年代測定を実施する.この発見により,富草では堆積岩と火山岩の両方について古地磁気方位を決定できる可能性が出てきた. なお,下部中新統の基盤岩(領家変成帯の構成岩類)の地質構造および磁気的性質についても把握する必要があるため,愛知県蒲郡市において白亜紀花崗岩類の地質構造調査と岩石磁気学的検討を実施した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り,調査地域の検討順を変更し,23年度は知多半島および富草における地質調査・試料採取を実施した.知多半島では最下部層(日間賀層)の調査がほぼ完了したが,上位層の調査は24年度が中心となる.富草も上部層の調査が終了していない.両地域とも,24年度秋頃までに地質調査を完了できる目処がついている.試料採取は予察的な採取を数地点で試みた.岩石が予想していた以上に堅硬であるため,エンジンドリルを使用して採取することになる.両地域における本格的な採取は24年度前半期に行う予定である.
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り,調査地域の検討順を変更したことに伴い,24年度は知多半島と富草を中心に調査し,25年度に一志の調査を行う.調査の流れは基本的に交付申請書の通りである.磁気測定を円滑に進めるために,24年度分については高知大学海洋コア総合研究センター(全国共同利用研究施設)の共同利用を申請し,受理された.
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次年度の研究費の使用計画 |
24年度は知多半島と富草の両地域で地質調査,試料採取,磁気測定を行うことになるため,旅費および謝金等の支出が増える見込みである.地質調査と磁気測定は膨大な仕事量になるため本学学生の協力を得ながら作業を進める必要があり,謝金等により処理する.それを見込み,23年度の支出を予定よりも少し減らし,24年度に繰り越した.大きな物品購入は予定していない.
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