研究課題
24年度は研究予定地域(三重県一志地域,愛知県知多半島と周辺島嶼,長野県富草地域)に関する文献資料調査と,知多および富草における地質調査・試料採取・残留磁化測定を実施した.また,周辺地域の新第三系(設楽地域の下部中新統,愛知・三重県の東海層群など)の地質と古地磁気も把握するため,それらの地質調査と試料採取,残留磁化測定も実施した.残留磁化測定は主に高知大学海洋コア総合研究センターで実施した.知多半島と周辺島嶼の師崎層群は,全般的に残留磁化が微弱かつ不安定で,固有残留磁化成分が分離できたのは試料採取地点(約40)の約半数であった.最下部の日間賀層は逆帯磁を示した.上位の豊浜層と合わせてChronozone C5Drに対比可能である.豊浜層の下部も主に逆帯磁だが,一部層準に正帯磁が確認された.この正帯磁層準はChronozone C5Dr.1nに対比される.これら一連の成果により,師崎層群全体にわたる古地磁気層序が確立され,堆積年代が判明した.日間賀層の層平均残留磁化方位は偏角が約45°の東偏を示した.これはほぼ同年代の設楽地域北設亜層群の東偏量に比べて約15°大きい.富草でも,最下部から最上位までの古地磁気層序が初めて確立された.基本的には師崎層群と同様であり,下部は逆帯磁が主体(Chronozone C5Drに対比される),その上位に正帯磁卓越部(Chronozone C5Dnに対比)と逆帯磁卓越部(Chronozone C5Crに対比)があり,堆積年代は約18 Maから17 Maにわたると判断される.約20地点で信頼できる残留磁化方位が決定され,それらの平均方位はNNEの偏角を持つ.
2: おおむね順調に進展している
24年度は知多および富草における地質調査・試料採取・残留磁化測定を実施し,両地域とも調査・測定の作業がほぼ終了した.結果の精度をさらに高めるために,一部で追加の試料採取と測定が必要であり,その作業は25年度中に行なう予定である.順調に進展していると判断される.
上記の通り,知多および富草の調査・測定はほぼ終了したため,今年度(最終年度)は一志層群の調査・測定に力を入れる.調査の流れは基本的に交付申請書の通りである.磁気測定を円滑に進めるために,25年度分についても前年度の引き続き高知大学海洋コア総合研究センター(全国共同利用研究施設)の共同利用を申請し,受理された.
25年度に調査・測定を行なう一志層群は,師崎層群や富草層群よりも分布が広いため,地質調査に日数を要する見込みである.そのため旅費および謝金等の支出が増える見込みである.地質調査と磁気測定は膨大な仕事量になるため,本学学生の協力を得ながら作業を進める必要があり,謝金等により処理する.また,25年度には成果発表および関連研究者との議論のために国内外の学会に出席する機会が増えるため,その旅費も必要である.これらを見込み,24年度の支出を予定よりも少し減らし,25年度に繰り越した.大きな物品購入は予定していない.
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (9件) 備考 (2件)
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