研究課題
南極大陸セール・ロンダーネ山地には原生代に形成した花崗岩体が約70×15kmの広い範囲に露出する.既存研究では,ロディニア・ゴンドワナの各超大陸衝突に巻き込まれた花崗岩体として重要視する例が多いものの,岩体そのものの形成過程については未解明のままであった.本研究はここに焦点をあて,このような超大陸に繋がった花崗岩体の最初の形成過程を解明すべく,①岩体の記載,②活動時期の決定,③成因の解明,④岩体形成の背景にあったテクトニクスの考察を行った.その結果,本岩体は片麻状のトーナル岩で構成される主部と,弱片麻状の斑レイ岩~花崗閃緑岩よりなる小岩体群に区分でき,前者は998~995Maに活動した低Kソレアイト質酸性マグマに,後者は945~772Maに散発的に貫入した高Srカルクアルカリ質アダカイトマグマに由来することが判明した.ソレアイト組成の大規模花崗岩の露出は世界的にも珍しく,その成因は海洋火山が連なって産するような未成熟火山弧の苦鉄質地殻が溶けてできたものと結論された.すなわち,約10億年前の海域に出現した初期大陸岩石としての意義を持つ.一方,アダカイト質花崗岩類は,いずれも沈み込む海洋地殻の融解メルトに関連することが分かり,本岩体が約7.7億年前まで沈み込み帯に位置していたことを示唆した.これらより,本岩体はロディニア超大陸に巻き込まれた可能性が低いことが明らかとなった.最終年度は岩体形成史の背景にあったテクトニクスに関する総括を行い,(1)約10億年に未成熟な海洋火山弧として出現,(2)7.7億年前まで沈み込み帯に位置,(3)約5.5億年前のゴンドワナ超大陸衝突に参加,を経て現在に至ることをまとめた.また課題達成に必要なテクトニクス,火成作用,年代論,岩体形成と風化作用などに関する関連研究についてもまとめた.
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