研究課題
最終年度には,探査ロボット(海洋研究開発機構HyperDolphin3K)を用いた共同研究航海(南鳥島周辺海域)を実施し,試料の組成分析,年代分析を実施した.調査や分析は,分担・連携研究者を中心として,さらに複数の大学のほか,産業技術総合研究所,海洋研究開発機構,石油天然ガス・金属資源機構の研究者も加えて,多分野,多彩な研究へと展開することができた.これらの研究者を中心とした自発的な研究ネットワーク(仮称マンガンクラスト研究会)が発足し,地球惑星科学連合2014大会では,「マンガンクラストの生成環境」のセッションとして発表を行った.成果の一部は内外の学術誌,書籍,講演会,シンポジウムなどを通じてすでに行っている.研究の目標である「化学堆積岩としての有用性の検証」について,確かな事例を提示することができた.以下のとおり,本研究の成果に基づいて、マンガンクラストの形成環境と形成プロセスについての全体像が見えつつある。1)北西太平洋では鉄・マンガン酸化物は新生代から現在まで,おそらく継続的に成長し続けてきた。2)主成分の鉄,マンガンの濃集速度(metal flux)の時空変動は小さく,おそらく広い水深帯,広域的広がりをもって形成されている。3)クラスト中の副成分元素濃度と海山近傍の現在の海底環境との対比に強い意味がある.4)つまり,マンガンクラストの量と質は広域的な海洋環境変動を反映し、同時に局地的スケールの変化も刻み込まれている.このように長いレンジ化学堆積岩として具体的に認知することが可能であるという事例が示されたことは,古海洋環境復元・物質循環解明への展開が期待され、同時に最近認可された我が国の探査鉱区における資源量算定、鉱床探索に際して重要,不可欠な情報となる。
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