GPR(Ground Penetrating Radar)による現世砂州の形成過程を推定した.調査砂州は,愛知県岡崎平野を流れる矢作川下流域の彎曲する河道の凸側にみられる比較的固定した砂州である.探査した砂州の長さは約725 m,幅は約160 mで中礫まじりの極粗粒~粗粒砂からなる.砂州の主要な反射面として,傾斜反射面,トラフ状反射面,平行反射面,大型チャネル状基底をもつ反射面セットなどがあり,これらはそれぞれ,砂州や大型デューンの下流方向や側方方向の付加,砂州上のデューンの移動,平滑床やベッドロード・シートの形成,シュートチャネルやクロスチャネルなどの埋積を示す.このうち砂州上のデューンについて実際にトレンチ調査を行った.横断面で層厚25-40cm,幅130-250cmのトラフ型斜交層理が,縦断面で層厚40-60cmの下流方向に30°で傾く葉理を持つ平板型斜交層理が観察された.この断面構造はGPR断面で得られる反射面の大きさ・形態が一致する.また,これらを基に,本砂州で見られるデューンの大きさを推定した.GPRによる 3次元断面からは,砂州の堤防側部での継続する上方付加の堆積,中央部での砂州を縦断するシュートチャネルの浸食と埋積,流路側でのサイドバーの新たな付加が復元された.これらの形成は,この流域のダム建設や河床砂礫採取などによる土砂供給量変化を反映している可能性が考えられる.これらの砂州形態を復元する模型実験を検討した.
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