風蓮湖北東縁に位置する走古丹バリアースピットには,5 帯の浜堤列が認識される.我々の掘削により, 7層の完新世テフラが見いだされ,千年オーダーでの地形発達史を解読した.現在のシステムが成立したのは5500 年前であり,BR1は17世紀以降,BR2は17世紀,BR3は12~13世紀,BR4は9~10世紀に離水した浜堤と推定される.千島海溝沿岸域では500 年間隔で発生した巨大地震の存在が明確になり,特にこの地の地盤は17 世紀巨大地震後には1~2m隆起し,その後現在まで8.5mm/年の速さで沈降し続けていることがわかっている.ゆえに,各分岐砂嘴の出現には,地震性地殻変動が関わっていたのであろう.
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