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2011 年度 実施状況報告書

東アジア東縁のジュラ紀-白亜紀の微化石相および海洋古環境解析

研究課題

研究課題/領域番号 23540547
研究機関富山大学

研究代表者

柏木 健司  富山大学, 大学院 理工学研究部(理学), 准教授 (90422625)

研究分担者 長谷川 卓  金沢大学, 自然システム学系, 教授 (50272943)
伊左治 鎭司  千葉県立中央博物館, その他部局等, その他 (40280747)
研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード微化石 / 生痕化石 / 手取層群
研究概要

北陸地方の手取層群の浅海成層(富山県・福井県)と,比較のために紀伊半島と関東地方のジュラー白亜系浅海成層を対象に,野外調査と微化石抽出処理を実施した.これらは全て,アンモナイトにより生層序学的年代軸が決まっているセクションで,かつ堆積相解析も比較的容易であり,東アジア浅海域における微化石相と海洋古環境の解析に適している.また,大型化石と微化石の生層序比較にも有利な側面を持つ. 昨年度の調査対象は,手取層群では桐谷層と有峰層,貝皿層,および上半原層,比較対象の地層では紀伊半島の有田層と関東地方の銚子層群である.生痕化石と団塊,泥岩基質を含む様々な試料を試行したものの,既に微化石が得られている桐谷層と有峰層の他では,銚子層群由来の団塊でのみ微化石が得られたのに留まる.銚子層群産放散虫化石は,殻が溶けた内型化石がほとんどで,多数の個体を検討したものの,堆積年代は白亜紀前期の限定に留まった.また,他のタクサの微化石は得られなかった. 桐谷層については,地層分布を明らかにする為に広域踏査を実施し,追加の生痕化石産地の発見を目指したものの,分布自体が非常に狭く生痕層準の発見には至っていない.上半原層では,団塊多産層準を見出したものの,微化石は得られなかったものの,多様な大型化石試料(イノセラムス等)を新たに得ることができた. 十分な成果に至っていないものの,微化石を産しない生痕化石や団塊の情報も,今後の調査研究において極めて重要な知見を提供するものと期待できる.また,大型化石との対比も重要である.今年度の成果は,今後2ケ年の研究の基礎データとなる.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の成否には,多様な微化石を含む生痕化石と団塊試料を,如何に入手できるか否かが重要となる.現在,微化石を得ているのは,生痕化石では有峰層と桐谷層のみで,団塊では有峰層と桐谷層に加え,貝皿層と銚子層群のみである.本邦における放散虫研究が1970年代に本格的に始まって以来,手取層群ではここ数年まで全く海生微化石の報告の無かった.また,比較対象の地層も,アンモナイトを多産する一方で,微化石の報告がこれまで全くされていない.このように,微化石抽出の困難な地層を対象としているものの,達成度が遅れている理由は以下の点に集約される.一つは調査対象の地層が十分ではない点であり,もう一つは既に微化石を得ている試料の詳細検討が不十分な点である.

今後の研究の推進方策

主に生痕化石にのみ密集して微化石が保存されてい有峰層等の例を参考にすると,アンモナイトを含む大型化石と微化石の地層中での保存過程は,地層中に埋没してから大きく異なることが予想される.一方,現状において,微化石がどのように生痕化石中に保存されるかは不明であり,それ故に,どのような生痕化石をターゲットにするかも判断できない状態にある. 以上から,先ずは早急に様々な浅海成層の野外調査を実施し,生痕化石の記載と採取を行い,微化石処理を進めることで,微化石を含む生痕化石の事例を蓄積する必要がある.また,生痕化石には多様なタクサの微化石の保存が,これまでの研究から期待されることから,現在の研究体制を有効に活用し,様々なタクサの研究を同時並行的に進めることで,東アジア東縁における微生物相と海洋古環境の解析を進めていきたい.

次年度の研究費の使用計画

旅費は主として国内の野外調査と学会発表に用い,人件費・謝金は微化石処理と岩石薄片作成に供する.とくに,岩石薄片作成が十分ではないので,こちらに重点的に資金を配分する.また,その他としては英語論文校正費用等に充てる.物品費は,微化石処理の薬品に加え,電子顕微鏡用試料作製の際の備品に使用する. また,国際学会での成果公表は,研究の進展に合わせて,今年度後半以降から来年度にかけて行う予定である.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Strontium isotopic ages of the Torinosu-type limestones (latest Jurassic to earliest Cretaceous, Japan): implication for biocalcification event in northwestern Palaeo-Pacific.2012

    • 著者名/発表者名
      Kakizaki, Y., Ishikawa, T., Nagaishi, K., Tanimizu, M., Hasegawa, T. and Kano, A.
    • 雑誌名

      Journal of Asian Earth Sciences

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 神奈川県中央部、鮮新-更新統中津層群のチャート礫から産出した放散虫化石.2012

    • 著者名/発表者名
      河尻清和・柏木健司
    • 雑誌名

      相模原市立博物館研究報告

      巻: 20 ページ: 65-74

  • [雑誌論文] 桑島化石壁の貝類化石2012

    • 著者名/発表者名
      伊左治鎭司・日比野剛
    • 雑誌名

      はくさん

      巻: 39 (4) ページ: 2-5

  • [雑誌論文] Submillennial resolution carbon isotope stratigraphy across the Oceanic Anoxic Event 2 horizon in the Tappu section, Hokkaido, Japan.2011

    • 著者名/発表者名
      Nemoto, T. and Hasegawa, T.
    • 雑誌名

      Palaeogeography Palaeoclimatology Palaeoecology

      巻: 309 ページ: 271-280

    • 査読あり
  • [学会発表] 富山県桐谷地域の楡原層(中新世前期)のチャート礫から産した中生代放散虫化石.2012

    • 著者名/発表者名
      柏木健司
    • 学会等名
      日本古生物学会
    • 発表場所
      群馬県
    • 年月日
      2012年1月21日
  • [学会発表] 神奈川県中央部,鮮新-更新統中津層群のチャート礫の後背地.2011

    • 著者名/発表者名
      河尻清和・柏木健司
    • 学会等名
      日本地質学会
    • 発表場所
      茨城大学
    • 年月日
      2011年9月10日
  • [学会発表] 手取層群九頭竜亜層群の中部ジュラ系貝皿層から産した微化石群集.2011

    • 著者名/発表者名
      柏木健司・平澤 聡・長谷川 卓
    • 学会等名
      日本古生物学会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2011年7月2日
  • [学会発表] 化石調査と地域振興ー桑島化石壁の歴史.2011

    • 著者名/発表者名
      日比野剛・山口一男・伊左治鎭司
    • 学会等名
      日本古生物学会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2011年7月2日

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公開日: 2013-07-10  

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