研究課題/領域番号 |
23540550
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
萩野 恭子 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 研究員 (90374206)
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研究分担者 |
小亀 一弘 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80215219)
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キーワード | 円石藻 / 進化 / コッコリス / 多様化 |
研究概要 |
円石藻の多くの系統は,それぞれの系統の歴史の中で,地質年代の経過に伴ったコッコリスのサイズの変化(種分化をともなった進化)を繰り返し経験してきた。申請者は,貧栄養海域への適応に応じた大型化と,大型種の相対的な絶滅立の高さが,サイズ変化の原因であるという仮説を持っている。本研究は,コッコリスのサイズ変化をともなった種分化の根本的な原因を,化石記録と現生種の分子情報に基づいて検証・解明することを目的としている。平成24年度は以下の研究を行った。 1)IODP306次航海によって,北大西洋のsite 1313,site 1314 の2地点から採取された深海底コア試料中のGephyrocapsa 属のコッコリス化石を走査型電子顕微鏡下で形態測定した。そして,完新世におけるGephyrocapsa 属化石の形態とサイズ変化の詳細を調べた。 2)東京都小笠原父島と鳥取県湯梨浜町の海水試料中から,Gephyrocapsa oceanica の培養株新たに10株を確立した。また,アメリカ合衆国カリフォルニア州モントレー湾の海水中から,Emiliania huxleyi (G. oceanica の近縁種)の培養株2株を確立した。 3)これまでに確立・取得したG. oceanica とE. huxleyi の培養株が形成するコッコリスの形態測定行い,培養株の増殖速度とコッコリスのサイズの関係を調べた。また,それぞれの培養株から全DNA抽出を行い,ミトコンドリアの部分塩基配列(Cox1b領域)の決定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
確立したG. oceanica の培養株からのDNA抽出や,ターゲットとするcox1b 塩基配列の増幅を行った。また,化石試料の走査型電子顕微鏡下での形態測定も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
Gephyrocapsa 属の形態進化や多様化の歴史を,地質学的・生物学的証拠に基づいて検証するために,本年度は 以下の研究を行う。 1)昨年度に引き続いて,IODP306次航海で採取された堆積物中のGephyrocapsa 属化石の形態測定を,走査型電子顕微鏡下で行い,同属の形態進化の過程の詳細を化石記録に基づいて明らかにする。 2)引き続き海水試料中からのGephyrocapsa 属の培養株の確立を行い,Gephyrocapsa ericsonii の培養株の確立を目指す。確立した培養株の形態測定を走査型電子顕微鏡下で行う。また,確立した培養株のミトコンドリア部分塩基配列を取得し,形態進化と遺伝学的多様性の関係を検証する。 3)研究成果を学会・論文発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
1)消耗品合計45万円(分子実験用消耗品:20万円,顕微鏡用消耗品,15万円,培養実験用消耗品:12万円)。 2)培養株作成用の小笠原諸島・父島の海水試料の取り寄せ,11万円(内訳;5,500円X20回=11万円)。函館の外洋水の取り寄せ,40,000円(1万円X4回=4万円) 3)鳥取県の外洋におけるサンプリングのための傭船料(その他・7万円)。 4)サンプルの郵送費(その他・3万円) 5)研究成果のための学会発表用の旅費合計47万円。内訳;日本地球惑星科学連合・連合大会(2013年5月19日~5月24日,幕張メッセ,旅費10万円),国際ナノプランクトン学会(2013年9月15~21日,アメリカ地質調査所,バージニア州,アメリカ,30万円),古海洋シンポジウム(2014年1月,東京大学大気海洋研究所,7万円)
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