研究概要 |
円石藻のサイズ変化をともなった種分化(多様化)の原因を解明するため、第四紀のGephyrocapsa 属化石の形態進化の研究と、現生Gephyrocapsa 属の形態観察並びに分子系統解析を行った。 化石の研究では,IODP 306 次航海で北西太平洋から採取されたコア試料を偏光顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察し,第四紀におけるGephyrocapsa 属の形態・サイズの変遷を調べた。特に小型の個体に注目して形態観察を行った結果,これまでsmall Gephyrocapsaとしてひとまとめにされていた同属のコッコリスが,bridge の角度や高さ,distal shield のelement の形態にさまざまなバリエーションがあることを明らかにした。地質年代別のsmall Gephrycapsa の形態的な特徴の違いについて議論する論文を,現在,執筆準備中である。 分子の研究では,本研究で過去3年間に太平洋から確立したG. oceanica の培養株に加えて、共同研究者のIan Probert 博士(Station Biologique de Roscoff, 仏)とEl Mahdi Bendif 博士(Marine Biology Association, 英国)が大西洋と地中海から確立した多数のG. oceanica 培養株から28S rDNA, cox 1b, cox 2, cox 3, tuf-A 領域の分子情報を取得し、分子系統解析を行った。その結果、G. oceanica が遺伝的に非常に多様性に富んだ種であること、そして、cox 1b 領域が多様性を検証する上で適した遺伝子領域であることを明らかにした。この研果をBendif et al. (2014) の共著者として執筆・発表した。これに加えて、Gephyrocapsa 属のコッコリスの形態と分子の多様性、そして化石種との関連を議論する論文を準備中である。
|