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2011 年度 実施状況報告書

琵琶湖堆積物の花粉群解析によるMIS1、5e、11間氷期の古気温定量復元

研究課題

研究課題/領域番号 23540553
研究機関千葉県立中央博物館

研究代表者

奥田 昌明  千葉県立中央博物館, その他部局等, 研究員 (10311383)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード古気候 / 琵琶湖 / 完新世 / 最終間氷期 / 常緑カシ林 / 中間温帯林
研究概要

本計画では、温暖化後の地球のアナログを得るために琵琶湖のMIS1、5e堆積物を花粉分析しモダンアナログベースの古気候定量復元をおこなうことを目的としているが、比較対象としてのモダンアナログ(表層花粉試料)の整備がまだ不充分だという問題を有していた。とくに琵琶湖MIS1、5e区間に優占する常緑カシ林が既存の表層データ中に薄いことから、常緑カシに富むMIS1、5eの古気温を高精度復元できなかった。したがって温暖化後の地球のアナログを得るという目的を果たすこともできなかった。この問題を解決するために、初年度は琵琶湖分析の準備をすすめつつも、表層試料の追加整備に重点をおいた。一般に常緑カシを多く含む暖温帯林は関東、近畿から山陽道にのびる都市部と重なるため、天然林の残存状況はきわめて悪く、漫然と試料採取していたのでは常緑カシ帯は表層データから欠落しがちである。この問題を解決するために、本計画では宗教的な信仰心から自然林が残されている近畿~関東の社寺林に狙いを定め、ピンポイント的な現地調査をおこなった。具体的には、(1)雨岩戸信仰が残る京都府北部・皇大神社、(2)日蓮宗の社寺がある能勢妙見山、(3)秀頼由来の北摂津・本山寺、(4)広島県宮島・厳島神社裏に広がる弥山原始林、(5)三島藩由来の北伊豆・函南原生林、(6)一般車の通行が規制されている神奈川県・丹沢山地(唐沢林道)などへ現地調査におもむき、下見調査(植生確認)と本調査(表層試料採取)の両方をおこなった。この結果、充分量の常緑カシ帯由来の表層花粉試料を確保することができた。さらに既存の表層データ中に欠けているモミ・ツガ帯(中間温帯)も確保することができ、間氷期の古気温を高精度復元できる可能性が高まった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上に記した通り、琵琶湖MIS1、5eからの古気温復元の要となる、常緑カシを多く含む表層花粉試料の拡充整備をおこなえたため。琵琶湖MIS1、5e区間は温暖化後の地球のアナログ候補として重要だが、その化石花粉組成は大量の常緑カシを含む一方、既存の表層データセットには常緑カシ帯が充分に反映されていないので、現状のままモダンアナログ法を適用してもMIS1、5eの古気温を高精度で復元することはできない。

今後の研究の推進方策

初年度で収集した表層試料の分析ならびにデータセットへの追加をおこなう。さらに、これと平行して、当初予定していた琵琶湖堆積物の分析をおこない、花粉ベースのモダンアナログ法を適用することにより、MIS1、5eの古気温定量復元をおこなう。

次年度の研究費の使用計画

MIS1、5eなど間氷期の古気温復元精度をさらに上げるため、初年度に引き続き関東~近畿地方周辺の表層花粉調査を継続し、そのための旅費(国内)を計上する。さらに現地採取し持ちかえった表層試料と、すでに採取ずみの琵琶湖堆積物を室内分析するための消耗品費(実験器具類など)を計上する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 化石花粉から古気温を高精度復元するためのモダンアナログ整備 -琵琶湖堆積物の事例から-2011

    • 著者名/発表者名
      奥田昌明
    • 学会等名
      第149回湘南地球科学の会
    • 発表場所
      千葉県立中央博物館講堂
    • 年月日
      2011年12月3日

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公開日: 2013-07-10  

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