研究課題/領域番号 |
23540559
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
大和田 正明 山口大学, 理工学研究科, 教授 (50213905)
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研究分担者 |
小山内 康人 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (80183771)
外田 智千 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (60370095)
亀井 淳志 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (60379691)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ゴンドワナ超大陸 / 東南極 / 東ドロンイングモードランド / セール・ロンダーネ山地 / 大陸衝突 / 変成作用 / 火成活動史 / マントル進化 |
研究概要 |
東南極セール・ロンダーネ山地は,ゴンドワナ超大陸形成時の衝突帯に位置し,各種の火成岩によって貫かれている.しかし,これら火成作用とゴンドワナ超大陸の形成や分裂などテクトニックセッティングとの対応関係は明確でない.本研究は,セール・ロンダーネ山地の火成活動史,マグマの成因そして大陸同士の衝突年代から,衝突帯の火成作用とテクトニクス及び地殻・マントルの進化過程を解明する. 計画している具体的な研究項目は,(1)火成活動史の確立,(2)マグマの起源物質とマグマ発生場の温度・圧力条件の推定,(3)火成岩・変成岩の同位体比組成と同位体年代からみた地殻・マントルの進化過程,および(4)マグマ組成の変化とテクトニクスの関係,の4つである.このうち計画初年度にあたる平成23年度は,ゴンドワナ超大陸の形成史および構造発達史を理解するため,セール・ロンダーネ山地に分布する火成岩・変成岩の形成年代と各時代に活動した火成岩の化学化学的特徴を明らかにすることを目的とした.具体的な成果は以下の通りである.1.火成活動史を明らかにするため,野外の産状から相対的なマグマの貫入順序を確立した上で,各貫入ステージを代表する岩石について,年代測定を実施した.そして,これまで報告されていた年代幅をより限定させることに成功した.2.変成作用の解析と年代測定を試み,ゴンドワナ超大陸形成に関する大陸ー大陸衝突の年代を解明した.3.各貫入ステージで活動した苦鉄質マグマの組成に着目し,それらマグマを形成したテクトニックセッティグを明らかにした.さらに,マグマの化学的特徴から大陸衝突の前後におけるリソスフェアマントルの進化過程を推定し,その進化過程とマグマの成因を関連づけて解析した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述した通り,平成23年度は,ゴンドワナ超大陸の形成史および構造発達史を理解するため,セール・ロンダーネ山地に分布する火成岩・変成岩の形成年代と各時代に活動した火成岩の化学化学的特徴を明らかにし,大陸衝突の前後におけるリソスフェアマントルの進化過程とそれに関連づけて,各ステージの火成活動の特徴を明らかにすることができた. 本研究は3年の計画で進め,今年度の計画は,1.火成活動の年代と大陸衝突帯の発達史と2.マグマの成因及び火成作用とテクトニクスの関係を解明することにあった.今年度研究成果はこれら1と2を十分に満足させるものである.したがって,本年度の達成度は,おおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
研究目的に掲げたゴンドワナ超大陸形成に関する火成・変成作用とそれらをもたらしたテクトニクスおよび地殻・マントルの進化過程を解明するため,研究の重点を以下に置いて推進する.1.火成活動史の詳細の解明:大陸衝突事変の前後における火成活動が連続的に活動したのか断続的に活動したのかを探るため,火成岩のジルコンU-Pb (SHRIMP)年代を測定する.2.マグマの起源物質の推定とその発生場の物理か学的条件の解明:各貫入ステージの火成岩について,主・微量成分化学組成およびSr, Nd同位体比組成の特徴を明らかにする.そして,ゴンドワナ超大陸形成以前から分裂までに貫入したマグマの成因と起源物質の組成的特徴を推定する.また,各種岩石の溶融実験結果を適応して,マグマ生成場の温度・圧力条件を求め,地殻~マントルにかけての温度構造を解析する.3.同位体組成から地殻・マントルの進化過程を求める:Ndモデル年代から火成岩や変成岩のマントル分離年代を求めることができる.また,ジルコンのインヘリテッド年代(inherited age)と組み合わせることで,地殻の再溶融(リサイクル)の過程や変成岩の原岩堆積年代を求め,マントルの進化や地殻発達史を解明する.4.マグマ組成の変化とテクトニクスの関連性の解析:グマの成因とその背景にあるテクトニクスの関係を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
プロジェクトの2年目にあたる平成24年度は平成23年度の成果を踏まえて検討を進める.特に火成活動史をより精密に確立することは,研究計画を遂行する上で核になる.一方,平成23年度には着手しなかった新たな課題にも取り組む.すなわち,マグマの起源とマグマ生成時の物理化学的条件の解析である.これらを明らかにすることで超大陸形成における火成活動とテクトニクスの関係と地殻・マントルの進化過程が解明できる. 以上を実施するため,平成24年度の研究費を使用する.1.年代測定と同位体比測定を実施するため,薬品等の消耗品費および分析施設への旅費,2.微量元素組成の分析費用(依頼分析),3.成果を学会で発表するための旅費.
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