地球深部圧力条件における主要地殻構成鉱物の密度及び弾性特性を密度汎関数第一原理計算法によりに決定し、地殻物質のマントル深部への沈み込みの可能性、沈み込んだ場合の地球内部での分布、マントルダイナミクスへの影響について考察した。 その結果、典型的な地殻物質はいずれも力学的にはマントル最下部まで到達し、下部マントルの化学的不均質の成因になり得るが、核からの加熱や内部発熱の時間スケールを考慮すると、グローバルなマントル対流に巻き込まれ安定成層は形成しづらいことが分かった。このことから、地殻形成がマントルの分化プロセスであるのに対し、その沈み込みは基本的には同化プロセスとなると考えられる。
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