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2012 年度 実施状況報告書

アモルファスシリカの溶解速度に及ぼすタンパク質の影響の定量評価

研究課題

研究課題/領域番号 23540561
研究機関鹿児島大学

研究代表者

河野 元治  鹿児島大学, 理工学研究科, 教授 (80224814)

キーワード溶解速度 / フロー式 / アモルファスシリカ / タンパク質 / アミノ酸
研究概要

地球表層環境で進行している鉱物の溶解反応には生物起源の種々の有機分子が大きく関与していると考えられている。前年度のフロー式によるアモルファスシリカの溶解実験で、溶解速度に及ぼすタンパク質(BSA)の影響の定量的な評価がなされたが、その反応機構は明らはにされていない。そこで本年度は等電点の異なる7種類のアミノ酸(中性アミノ酸:セリン、トリプトファン、アラニン、トレオニン、塩基性アミノ酸:ヒスチジン、リシン、アルギニン)を用いてアモルファスシリカの溶解実験を行い、溶解速度に及ぼすアミノ酸の影響の定量評価と反応機構の解析を行った。溶解実験は、pH6、5、4の3段階、バックグラウンドNaCl濃度0.1mM、各アミノ酸濃度10.0 mMの条件で行った。実験の結果、アミノ酸によるアモルファスシリカの溶解速度への影響はアミノ酸の種類により大きく異なり、アミノ酸の等電点の大きさに依存して溶解速度の増大が生じることが確認された。また、溶液pH低下に伴う溶解速度の増大も確認された。なお、地球化学コード(ChemEQL)計算から求めた各アミノ酸の陽イオン化学種濃度と溶解速度の増大量との関係はきわめて良好な正の相関を示し、アモルファスシリカ負電荷サイトへのアミノ酸陽イオン化学種の表面錯体形成による溶解速度の増大を示唆した。これらの結果は、タンパク質を用いたアモルファスシリカの溶解実験結果と調和的であり、タンパク質との反応においても同様の反応機構が想定された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画では次の3つの反応系でのアモルファスシリカの溶解実験を予定していた。反応系I:タンパク質およびアミノ酸を含まない無機反応系、反応系II:牛血清アルブミン(BSA)を含むを用いたタンパク質系、反応系III:酸性から塩基性の種々のアミノ酸を用いたアミノ酸系。これらの反応系のうち、反応系Iと反応系IIの実験および実験結果の解析はすでに終了している。さらに、反応系IIIのアミノ酸を用いた実験では中性および塩基性の7種類のアミノ酸を用いた実験は終了し、溶解速度の算出およびアミノ酸の陽イオン化学種濃度に関する計算もほぼ終了している。なお、酸性アミノ酸を用いた溶解実験は次年度実施予定である。したがって、研究は当初予定のとおりおおむね順調に進展していると判断される。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、当初計画どおり反応系IIIのうち酸性アミノ酸(アスパラギン酸、システイン、アスパラギン)を用いた溶解実験を行う。平成24年度までの研究でタンパク質系での溶解実験と中性および塩基性アミノ酸を用いた反応系での溶解実験は終了し、これらのデータを用いた溶解速度の解析もほぼ終了している。その結果、アミノ酸による溶解速度の増大はアミノ酸陽イオン化学種が反応イオンとして重要な働きをしていることが確認された。そこで、よりプロトン化傾向の小さい酸性アミノ酸を用いたアモルファスシリカの溶解実験を行い、アモルファスシリカの溶解速度に及ぼすアミノ酸の影響の定量評価と反応機構の構築を行う。

次年度の研究費の使用計画

研究費は主にSi濃度の測定に用いるSi分析カラム、分析試薬類、メンブレンフィルターなど、実験用消耗品の購入費として使用する。また、研究成果発表のために学会参加旅費(粘土科学討論会など)としても使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Enhancement of dissolution rate of amorphous silica by interaction with heterocyclic comounds2012

    • 著者名/発表者名
      Motoharu Kawano
    • 学会等名
      2nd Asian Clay Cinference
    • 発表場所
      Ewha Womans University, Seoul, Koria
    • 年月日
      20120906-20120908
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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