研究課題/領域番号 |
23540565
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
森下 祐一 静岡大学, 理学研究科, 教授 (90358185)
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研究分担者 |
比屋根 肇 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70192292)
後藤 孝介 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (30612171) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | SIMS / レアメタル / 南アフリカ共和国 / 白金族鉱床 / 金鉱床 |
研究実績の概要 |
SIMS微小領域(径3ミクロン)高空間分解能深さ方向分析を行い、鉱石中の金、白金族の存在形態を解明する。SIMS分析には標準試料が必要だが、磁硫鉄鉱、ペントランド鉱、黄銅鉱にPtイオンを1.3MeVで3E14/cm2個イオン注入した標準試料を準備した。 ブッシュフェルト複合岩体東部地区のメレンスキーリーフについて、ボーリングコアから得た硫化鉱物のCsイオン源による測定で、磁硫鉄鉱と黄銅鉱のPt濃度は1ppm以下だが、ペントランド鉱では数十ppmに達した。比較のため、北部地区白金族鉱石の分析を行ったが、鉱物へのPtの濃集傾向は同様であった。一方、Pd分析は酸素イオン源を用い、測定対象同位体やエネルギーフィルター法等を検討して相対感度係数を求め、コア試料の分析を行った。ペントランド鉱にはPdが数百ppm濃集しているが、黄銅鉱中には10ppmまで、磁硫鉄鉱中では多くが1ppm以下であり、Pdのほとんどがペントランド鉱に存在している。また、鉱物の局所分析では、濃集の不均質性は小さい。 本年度は、メレンスキーリーフの輝岩と下部のクロム鉄鉱岩について、SIMSによるPt, Au分析を行った。輝岩ではペントランド鉱のPt濃度は10ppmを越えており、磁硫鉄鉱がそれに続き、黄銅鉱中にはPtがほとんど含まれていない。磁硫鉄鉱中には不均質にPtが分布しており、濃度の高い部分(数十nmの範囲)ではペントランド鉱と同程度含まれている。クロム鉄鉱岩では、ペントランド鉱と磁硫鉄鉱中のPt濃度が輝岩中よりも低く、不均質に分布している。黄銅鉱は輝岩と同程度に低い。Au濃度は、輝岩、クロム鉄鉱岩、3つの硫化鉱物を問わず0.1ppm程度である。いずれも不均質で、平均値より1桁高いピークが局所的に認められる。PtとAuの不均質なピーク濃度は局所的にほとんど相関しておらず、生成メカニズムの相違が示唆される。
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備考 |
静岡大学理学部主催のサイエンスカフェ(2014年5月29日、静岡市葵区にて開催)において、白金族などレアメタルに関する講演「金、プラチナの輝き:レアメタルは地球のどこにある?」を行った(招待講演)。このサイエンスカフェでは、お子さんから年配の方まで150人もの一般市民の方に、本研究での研究成果も含めて紹介した。金属資源への関心の高さが伺え、研究のアウトリーチとして有意義であった。
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