研究課題
マグマに溶け込んでいる揮発性物質は、火山ガスとして火山体の山頂火口や山腹の噴気孔から放出しているが、さらに火山体を覆う土壌を通して滲み出しており「拡散放出」と呼ばれる。マグマ揮発性物質起源のCO2拡散放出は多くの火山でみられ、時間変化はマグマの上昇下降を反映し、面分布は将来の噴火場所の推定に役立つ。伊豆半島東部では1979年代初頭からマグマの上昇を示す地殻変動や群発地震が続いており、1989 年には伊東沖で海底噴火が起きた。本研究はこの地域に特有の単成火山形成に伴うマグマの動きをマグマ揮発性物質の拡散放出から捉えようとする初めての試みである。初年度(平成23年度)には、群発地震震源域の陸上部分と2700年前の噴火域で観測研究を実施したが、両地域ともCO2の拡散放出量は生物活動由来のバックグラウンドレベルであり、マグマ揮発性物質の拡散放出は検出できなかった。2年目は、初年度の陸域での観測結果を踏まえ、1989年にマグマが上昇した地点付近で噴火23年後のマグマ揮発性物質の放出を調べた。手石海丘火口内の水深107-115mの火口底で3地点、火口上方の水深100m、80m、50mの海水を小型船から採取し、溶存全無機炭素量、CH4量とそれらのδ13C、Δ14C、3He/4Heなどを測定した。その結果、極めて少量のマグマ起源CO2とCH4の放出が認められた。最終年度(平成25年度)は再び陸上部での観測を行い、4000年前の噴火で生成した大室山のCO2拡散放出量の二次元分布を精密に求めた。その結果、CO2拡散放出量は火口内で少し高く、一日あたりの火山体全体からの放出は(22+2)トンと極めて少ないことが示された。また、2700年に噴火した岩ノ山から伊雄山に至る火山列を横切る3測線での測定からは、割れ目に沿ってのマグマ揮発性物質の拡散放出を調べた。
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http://sakuya.ed.shizuoka.ac.jp