研究課題/領域番号 |
23540571
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
湯上 登 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60220521)
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キーワード | レーザー / プラズマ / テラヘルツ / 電磁波発生 |
研究概要 |
一般にテラヘルツ電磁波を発生するには、光伝導アンテナ(Photo-conductive antenna)、通称PC アンテナが用いられる.これは低 温成長させたガリウム砒素基板上に対向させた電極を設置し、その電極間にバイアス電圧を印加する.その状態で電極間にチタンサフ ァイアレーザーなどの短パルスレーザーを照射することにより、電極間には光伝導電流が流れる.この電流の立ち上がり時間がピコ秒 オーダーとなるため,それに対応する電磁波の発生周波数はテラヘルツ帯となる.このアンテナにより高繰り返しのテラヘルツ波の発 生も可能である. しかしながら,このPCアンテナには大きな欠点がある.つまり初期の印加電圧を大きくできないため,電極間に流れる電流が制限され 、結果的には大出力のテラヘルツ電磁波の発生は期待できない. この欠点を克服するために我々はプラズマアンテナを提案した.電磁 波の周波数はプラズマ密度の時間変化に依存し、つまり、発生電磁波の周波数はレーザーパルス幅に依存することが示唆された. これまでの実験で、ガス密度やレーザー強度などは実験パラメーターとして変化させることができるが、レーザーのパルス幅は、レ ーザー装置固有の値で変化することはしていなかった.パルス幅100 fs程度の超短パルスレーザーでは、グレーティングを調整するこ とにより、パルス幅を長くすることは可能であるが、集光レーザー強度が下がるため、一般には行われない.特に、パルス幅を短くす ることは困難である.過去2年間、レーザーパルス幅を短くするために、中空ファイバー中をチタンサファイアレーザーを伝搬させ、 その非線形効果により、100 fs のパルス幅を 30 fs に短縮することが達成された.このレーザーパルスを用いて本格的なテラヘルツ 電磁波発生の実験に期待されている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の達成度に示したように、安定に 100 fs のレーザーパルスが 30 fs にすることができるようになった..現在は、高電圧が印加された電極にそのレーザー光を導き、テラヘルツ電磁波の発生実験を行い、通常の手法、つまりPCアンテナを 検出器として、発生した電磁波の周波数を観測し、1 THz 程度の電磁波の観測を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
現在、発生した電磁波の時間波形を観測することができるTHz Time Domain 計測器の開発を行っており、これが完成すれば、これまでPCアンテナで長時間のスキャンによって計測していた電磁波電場の時間波形をワンショットで計測することが可能である.
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の予算では、ワンショット計測のための実験機材購入と学会への旅費を予定している.
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